2014 Fiscal Year Research-status Report
認知行動療法におけるメタファーを用いた心理教育の効果
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25870135
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
永岡 紗和子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (10633315)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心理教育 / 自閉スペクトラム / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
質問紙調査の再分析と論文執筆、国際誌への投稿を行った。 精神疾患の特徴を理解し治療を動機づけるには、心理教育を相手に理解できる言葉で丁寧に行う必要がある。本研究は、うつ病の併存疾患であることが多い自閉スペクトラム傾向をもつ人に対する効果的な心理教育の手がかりを探るため、メタファーを用いたうつ病の心理教育の効果と聞き手の自閉スペクトラム傾向との関連を調査した。 大学生を対象に質問紙調査を実施した (男性41名、女性105名; M=19.45±2.05歳)。参加者は2群に分けられ、一方には比喩を用いたうつ病の心理教育が、もう一方には比喩を取り除いたうつ病の心理教育が提示された。各刺激文は、「わかりやすい」「イメージしやすい」などの印象評定が16項目7件法にて問われた。また、自閉症傾向を測定するため、全ての被験者は自閉症スペクトラム指数(Autism-spectrum quotient; AQ)日本語版 (若林, 2003) に解答した。 心理教育の印象を問う16項目に対し探索的因子分析を行い、「理解度」「ポジティブな印象」「新しい知見」の3種類の下位尺度からなる「心理教育の印象を問う質問紙」を作成した。その後、各下位尺度の得点を従属変数に、AQの高低とメタファーの有無を独立変数に、2要因分散分析を行った。結果、AQの高群低群ともに、メタファーがある文章の方が身近なことだと感じたり親しみやすい内容だと感じる「ポジティブな印象」を抱くと示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自閉スペクトラム傾向を持つ臨床群を対象とした質問紙調査の実施可能性等から、現在は調査対象をうつ病から拡大し、メタファーを用いた若者向けの強迫症の心理教育の作成にとりかかっている。臨床群の対象を変更したことで達成度は当初の予定より遅れているが、より臨床現場で効果検証し洗練していくことが可能な状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
自閉スペクトラム傾向を持つ若者に対する心理教育の工夫について、様々な疾患を対象に作成していく。今後は思春期~青年期を対象とし、視覚刺激とメタファーを多様に用いることで、自閉スペクトラム傾向が高くとも理解可能であり記憶しやすい心理教育について、専門家の意見を交えながら作成し効果を検証する予定でいる。
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Causes of Carryover |
臨床群の調査対象を変更したことで、当初予定した研究参加者への謝金分が次年度に繰り越されている。また、投稿中の論文が未掲載のため、掲載費が未発生である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内外の学会発表に伴う費用、論文の再投稿・再校閲料と掲載費、専門家への相談の謝金にあてる予定である。
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