2013 Fiscal Year Research-status Report
低速中性子散乱実験施設を用いた未知の弱結合スカラー粒子の探索
Project/Area Number |
25870160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神谷 好郎 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (90434323)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / 未知粒子探索 / 微小重力 / 中性子ビーム / 高純度ガス |
Research Abstract |
本研究は、中性子と原子ガスの散乱角分布を精密に測定し、既知の散乱過程による分布からのずれを評価することで、結合の弱い未知スカラー粒子の探索を行うことを目的としている。 今年度は、質量数が大きく散乱の評価がしやすいキセノンガスを散乱対象の試料とした。高純度試料ガスを扱うための真空系やガス配管と、ビームラインにインストールする試料チェンバーの製作をおこなった。系統誤差の一要因にチェンバー表面からのアウトガスなどによるキセノン試料の汚染が考えられるが、適切な表面処理をすることで十分に無視できる程度まで抑えられる事がわかった。また、試料ガス純化ラインのプロトタイプを制作し、十分な純化性能を得るために必要となるシステムの規模と純化時間を評価した。 本年度末に、韓国にある中性子小角散乱施設において予定通りの統計量を取得した。解析を進めているところである。これらの実績は、APPC12やGRANIT2014などの国際会議で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ガスラインの製作・試料チェンバーの製作・バックグラウンドの評価・データ取得など、計画通りに進んでいる。その上に、来年度に開発予定であった試料ガス純化ラインの初期試験を行うことができたため、当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の早い時期に実験/解析をし、未踏の感度領域における未知粒子探索を行う。その結果を、国内外の会議や投稿論文を通して公表する。同時に、実験感度を上げるための、試料ガスの純化システムの設計を進める。それらの進み具合から余力があれば、中性子のビームハローの影響を評価した上、より小角散乱領域を測定できる検出器の開発を進めることを考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定より航空券が安かったため、次年度使用額が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせて、必要物品の購入費や国際会議参加のための旅費として使う計画である。
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