2014 Fiscal Year Annual Research Report
食細胞シグナル伝達異常症由来iPS細胞の樹立と骨リモデリングの解析
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25870468
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
津村 弥来 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 研究員 (80646274)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食細胞異常 / 骨髄炎 / 破骨細胞 / IFN-γ / STAT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
STAT1は、I型およびII型インターフェロンによるシグナル伝達を媒介する転写因子で、ウイルスや細胞内寄生菌に対する感染防御に重要な役割を果たす。食細胞機能異常症である機能喪失型のIFN-γR1欠損症やSTAT1欠損症は、細胞内寄生菌に選択的に易感染性を呈するメンデル遺伝型マイコバクテリア易感染症(MSMD)に分類される原発性免疫不全症で、これまで変異による感染防御破綻の分子機構を解析してきた。 骨髄炎はMSMDの約80%で認められる臨床的特徴のひとつであり、これまでに経験したIFN-γR1欠損症やSTAT1欠損症患者においても骨髄炎およびそれに伴う骨溶解を認めている。破骨細胞は骨吸収をおこなう多核細胞で、マクロファージや樹状細胞と同様に骨髄球系/単球系細胞由来であり、M-CSFとRANKLの刺激により分化する。また以前よりIFN-γにより強力に破骨細胞形成を阻害することが知られているが、ヒトにおいて抑制の分子機序は明らかにされていない。そこで本研究では、患者由来の細胞を用いてIFN-γによる破骨細胞の形成と機能への影響について調べることにした。 食細胞機能異常症由来の破骨細胞はin vitroにおいて、IFN-γ による破骨細胞形成の抑制が障害され、抑制にはより高濃度のIFN-γが必要であった。骨吸収能の検討においても同様に患者由来の破骨細胞において機能亢進が認められた。破骨細胞の主要転写因子であるNFATc1の発現を検討したところ、患者由来の破骨細胞ではIFN-γにる発現低下が抑制されていた。以上よりIFN-γ-STAT1のシグナル伝達障害患者では、IFN-γによる破骨細胞の抑制機構の破綻により骨病変を呈することが推測された。
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[Journal Article] Simple diagnosis of STAT1 gain-of-function alleles in patients with chronic mucocutaneous candidiasis.2014
Author(s)
Mizoguchi Y, Tsumura M, Okada S, Hirata O, Minegishi S, Imai K, Hyakuna N, Muramatsu H, Kojima S, Ozaki Y, Imai T, Takeda S, Okazaki T, Ito T, Yasunaga S, Takihara Y, Bryant VL, Kong XF, Cypowyj S, Boisson-Dupuis S, Puel A, Casanova JL, Morio T, Kobayashi M.
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Journal Title
Journal of Leukocyte Biology
Volume: 95
Pages: 667-676
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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