2015 Fiscal Year Research-status Report
日本の介護現場にみられる日本人とブラジル人のコミュニケーション
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25870608
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
高阪 香津美 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (20512271)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 外国人高齢者 / 介護現場 / ポルトガル語 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成20年末の世界的経済危機、ならびに、平成23年3月の東日本大震災を機に、日本在住の日系ブラジル人の数は大幅に減少したが、それでもなお、彼(女)らの滞在形態が定住化であることから、平成2年の入管法改正に伴い来日した日系ブラジル人が数多く日本社会で生活している。そして、時間の経過とともに、彼(女)らは来日当初には思いもよらなかった新たな課題に直面している。それが、「高齢化」である。そこで、本研究では、今後、日本の介護施設に、介護する側、介護される側の両方に日系ブラジル人が増加していくことが予想される中、そこで働く日本人介護従事者がいかなる知識を身につけておく必要があるかを明らかにし、今後のポルトガル語教育、あるいは、多文化共生教育に還元し、即戦力となる人材を養成することを目的とする。 平成27年度は、学外研究のため、日系ブラジル人が実際に介護に従事する、あるいは、日系ブラジル人が介護利用者である介護施設での調査ができなかった。また、予定していたブラジルの介護施設での調査もジカ熱の大流行により時期を見合わせた。その一方で、長期学外研究でブラジルに渡ったものの、研究目的や扱うテーマが異なったため、調査自体はできなかったが、実際にブラジルに滞在していたため、ブラジルにおける高齢者の暮らし方や介護のあり方、また、介護分野の位置づけを目の当たりにし、今後、調査を行う上で得るものが多かった。介護分野そのものではないが、医療分野のポルトガル語教材を作成するための研究会にも参加し、専門家との意見交換から、介護分野のポルトガル語教材作成時に応用できるようなアイデアを得たため、最終年度の教材試案作成においてこのアイデアを活用するつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の調査フィールドが「介護現場」であり、筆者にとっては未知の領域であるということ、また、介護現場での調査が容易ではないこと、さらに、平成27年度に長期学外研究を行ったことが理由として挙げられる。また、平成27年度末にブラジルで調査を行う予定であったが、ジカ熱の大流行により調査時期を平成28年度へ変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究テーマの専門家や実践家を交えた研究会を実施し意見交換をすることにより研究を進めていく。調査においては状況を見ながら、できるだけ早い時期にブラジルと日本の介護施設で実施する。成果物である教材については、本研究期間内に「完全なもの」を作成するのは検証期間が短く難しいため、本研究の成果としては、たたき台である教材試案を作成する。そして、今後、介護現場で働くことを希望する学生や実際に介護従事者が授業や現場で使用する中で、意見を出しあい修正を繰り返すことで、ある程度時間をかけ教材を使いやすいものにしていく。
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Causes of Carryover |
平成27年度は本研究テーマと異なる課題で長期学外研究に出ていたこと、また、年度末には、ブラジルでジカ熱が大流行したため、予定していたブラジルの介護施設におけるブラジルの「介護文化」を明らかにするための調査、ならびに、ブラジル人介護従事者やブラジル人介護利用者が在籍する日本の介護施設における調査が実施されていないことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
先行研究を概観することで明らかになったことを踏まえながら、ブラジルの状況もみつつ、ブラジルの介護施設、ならびに、日本にあるブラジル人介護従事者、ブラジル人介護利用者が存在する介護施設での調査を実施する。
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