2014 Fiscal Year Annual Research Report
染色体コピー数制御系の構築に向けた倍数体バクテリアDNA複製開始機構の解明
Project/Area Number |
25870714
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大谷 直人 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 講師 (70365451)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高度好熱菌 / 倍数性 / DNA複製 / メガプラスミド / Thermus thermophilus |
Outline of Annual Research Achievements |
バクテリアにおいて染色体のコピー数を自在に制御できる系の構築を目指し、倍数体の高度好熱菌Thermus thermophilus HB27を対象としてDNA複製開始機構の解明を試みた。複製開始に必須の領域を特定するため、ゲノムDNAライブラリーからの自立的複製能を有する(複製開始領域を含む)クローンのスクリーニング、染色体から0.1 Mbp程度の領域をコピーアウトしたいくつかの環状DNAについて複製能の検証を行ったが、未だ複製開始領域の特定には至っていない。一方、約 230 kbpの巨大環状プラスミド(メガプラスミド)の複製には、プラスミド上で真逆の位置に存在する2つの領域が必要であることを明らかにした。一方が複製開始領域の本体であり、もう一方の領域はサポート的な機能を担い、トランスでも作用するが、プラスミドの複製には必須である。おそらく、複製開始すなわちDNA二本鎖の開裂には関与しないが、その後のDNA複製の進行に何らかの機能を持っているのではないかと推測する。メガプラスミドの状況を踏まえると、染色体の場合も離れて存在する複数の領域が複製開始に関わる可能性が考えられ、これまでとは異なるアプローチを試みる必要が出てきた。そのためのツールとして、ある温度以上では複製できなくなる温度感受性プラスミドの開発、スクロース存在下で致死性を示す枯草菌sacB遺伝子を利用した遺伝子破壊株のネガティブスクリーニング系、さらに他の好熱菌由来のトキシン-アンチトキシンシステムを用いたネガティブスクリーニング系の開発を行っている。当該研究期間内では本申請課題の目標を達成することは出来なかったが、得られた知見や前述の開発した系を駆使し、近い将来には是が非でも倍数体バクテリアのモデルとしての高度好熱菌のDNA複製開始領域の特定を実現し、複製開始メカニズムを解明したいと考えている。
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Research Products
(1 results)