2013 Fiscal Year Research-status Report
偏光X線観測を目指したDLC蒸着による曲げられた結晶の開発
Project/Area Number |
25870744
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
飯塚 亮 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (50548120)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | X線天文学 / X線偏光計 / シリコン結晶 / ブラッグ反射 / ダイヤモンドライクカーボン |
Research Abstract |
X線天文学の新たな局面を切り開くため、曲げられた大きなシリコン単結晶を用いた、鉄輝線付近に特化する偏光感度の極めて高いブラック反射型偏光計の開発を目指している。まず、曲げる対称である単結晶として、直径200mm、厚み50~100μm程度のシリコン(Si 100)を用意した。Si 100の400面反射は、X線天文学で重要である鉄輝線に対して、45度付近でブラック反射をする。45度で入射したX線は、最も偏光が測定しやすい条件を満たすため、最も適切である。大きく薄い結晶は、共同研究してきた企業との精密加工により製作をした。 次に集光能力をあげるために、CVD法を用いて、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)をシリコン結晶に蒸着することにより、その間で生まれる残留応力によって曲げる。今までの研究では、曲げられたシリコン結晶は、円筒形であり、曲率は、DLCの厚みを変える事で制御ができることが分かっていた。 今回は、円筒から放物面の形状に制御することを目標とした。まずは、DLCをシリコン結晶に蒸着する際、選択的に厚みを分布をもたせることにより、放物面の形状になるかを確認した。表面形状測定と集光実験を行った結果、1分角程度の角度分解能が得られる事が分かった。この成果を学会等で発表を行った。また、これらの成果について、現在、特許出願を論文執筆をしている。 並行して、X線測定をするためのビームラインの整備をした。また、公開天文台の既存の赤外線カメラを使って、偏光観測の可能性について、実際に天体の観測を行い、調査をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の目標は、曲げる形状を、円筒から放物面に制御することが目的であった。放物面に曲げることには成功しているので、順調にしていると思われる。また、思うような曲率に放物面をおよそ制御できているのも大きな収穫である。
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Strategy for Future Research Activity |
シリコン結晶を思うような曲率に放物面に制御を完全にする。また並行して、放物面から回転放物面へ、さらにシリコン結晶の制御を行う。お椀型の回転放物面に制御することは困難が伴うことが予想されるが、2つのアプローチにより進める。1つ目は、放物面に曲がったシリコン結晶を、既存するナノパルスレーザーシステムにより加工を行う。2つ目は、ダイシングカットにより切り出し、曲げたシリコン結晶を回転放物面の金属に貼付けることにより製作をする。どちらがよいのか、表面形状に測定を行い、最後に、曲げられた単結晶を既存のビームラインにてX線測定で評価を行う。これらによって、偏光感度、有効面積、エネルギー帯域、集光能力の4つの条件を調べる。 製作によって得られた全てのパラメータから、曲げられたシリコン結晶を用いた偏光計全体の設計を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月に計画をしていた実験出張が次年度にずれこんだため、1回分の出張費(約4万円)が残った。 次年度の実験出張の経費として使用をする予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Ground-based x-ray calibration of the Astro-H soft x-ray telescopes2014
Author(s)
Ryo Iizuka, Takayuki Hayashi, Yoshitomo Maeda, Manabu Ishida, Kazuki Tomikawa, Toshiki Sato, Naomichi Kikuchi (ISAS/JAXA), Takashi Okajima, Yang Soong, Peter J. Serlemitsos (NASA/GSFC), Hideyuki Mori (Nagoya Univ), Takanori Izumiya (Chuo Univ), Sari Minami (Nara Women's Univ)
Organizer
SPIE Space Telescopes and Instrumentation 2014
Place of Presentation
Palais des congres de Montreal, Montreal, Quebec, Canada
Year and Date
20140622-20140626
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[Presentation] Simultaneous multi-wavelength observations of large flare stars2014
Author(s)
Ryo Iizuka (ISAS/JAXA), Takanori Matsumura Yohko Tsuboi (Chuo Univ), Tomofumi Umemoto (NAOJ), Jun Takahashi, Akira Arai (NHAO), Hiroyuki Maehara (Tokyo Univ), Daisuke Nogami (Kyoto Univ), Mizuki Isogai (Kyoto Sangyo Univ), Osamu Oshima (Mizushima Technical Highschool)
Organizer
SUZAKU-MAXI 2014 conference
Place of Presentation
Ehime University
Year and Date
20140219-20140222
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[Presentation] ASTRO-H衛星搭載 X線望遠鏡(SXT/HXT)の開発2013
Author(s)
飯塚亮, 石田学, 前田良知, 林多佳由(ISAS/JAXA), 國枝秀世, 松本浩典, 古澤彰浩, 森英之, 宮澤拓也, 石橋和紀, 田原譲, 田村啓輔, 鳥居龍晴, 立花健二(名大), 岡島崇, Perlemitosos Seter J., Soong Yang(GSFC/NASA), 粟木久光, 杉田聡司, 黄木景二(愛媛大), 幅良統(愛知教育大), 難波義治(中部大), 山内茂雄(奈良女子大)
Organizer
第57回宇宙科学技術連合講演会
Place of Presentation
米子コンベンションセンター
Year and Date
20131009-20131011
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[Presentation] Astro-H搭載 X線望遠鏡 SXT/HXTのアラインメント計測2013
Author(s)
飯塚亮, 石田学, 前田良知, 林多佳由 (ISAS/JAXA), 富川和紀, 佐藤寿紀, 菊地直道 (首都大学東京), 森英之, 宮澤拓也, 黒田祐司 (名古屋大学), 粟木久光 (愛媛大学), 幅良統 (愛知教育大学), 泉谷喬則 (中央大学), ほかAstro-H SXT/HXTチーム
Organizer
天文学会2013年秋季年会
Place of Presentation
東北大学
Year and Date
20130910-20130912
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