2014 Fiscal Year Research-status Report
明治期の初等修身教科書に採用された寓話・童話・昔話のエートス分析的研究
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25870826
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
坂本 麻裕子 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 助教 (40648317)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教科書 / 修身 / グリム童話 / イソップ寓話 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的:何を解明しようとしたのか】 平成26年度、申請者は①前年度に引き続きグリム童話に関する調査も行った。また、②修身教育素材としての西洋寓話・イソップ寓話に関する調査にも着手した。 【研究方法:どのような方法で研究を進めたか】 具体的には1)東書文庫の調査を行った。一冊一冊を丁寧に読んでいく作業が必要なため、次のような手順で進めた。まず、東書文庫しか所蔵していない貴重文献を一冊一冊丁寧に確認し、グリム童話の掲載の有無、イソップ寓話の掲載の有無を調査した。併せて伝記についても確認を進めた。発見された文献は、状態が悪いため、複写申請は限られた枚数しかできなかった。そのため、テキストをPCで手入力する作業を進めた。2)当時の社会的な背景が窺える資料の収集。3)修身教育イデオロギーのエートスを補強するため、修身教科書や修身教育をめぐる教育学者の言説を再考する作業を行った。1)~3)は、現在も引き続き資料収集と分析を行っている。 【研究成果:成果としてどのようなことが明らかになったのか】 ①グリム童話については、現時点でグリム童話を掲載した修身教科書は見当たらなかった。樋口勘次郎の修身教科書を検討したが、グリム童話の掲載はなかった。②イソップ寓話については、生徒用、教師用の修身教科書の中から数編発見された。挿絵が多く、また、伝記とも連動させて導入していることが明らかとなった。今後、詳細な分析を行い、発表準備を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年度は、体調不良や申請者自身の大学内ポジションが変わったため新規業務や新規授業に時間を割く必要があり、調査がスムーズに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度も東書文庫の調査が、予定通りにスムーズに進まなかった。現在の仕事状況と東書文庫の開室日程(平日のみ)が合わないためである。したがって、平成27年度は東書文庫での貴重本の調査は進めつつも、東書文庫以外の範囲まで広げ資料調査を進める。 また、修身教科書と対比するために、同時期の民衆側のエートス分析や修身教科書と対峙することになる娯楽的読み物のエートス分析も視野に入れたい。
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Causes of Carryover |
理由は、以下の2点である。1)東書文庫の貴重書は、古書の状態が悪いため、複写ができなかった。多くは手入力する必要があった。そのため、調査費や複写費等の経費が浮いた。2)平成26年度は、申請者自身の大学内ポジションが変わったため、新規業務に時間を割く必要があり、調査がスムーズに進まなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
したがって、平成27年度は東書文庫での調査を出来る限り進めるが、時間的に調査が不可能な場合があるので、研究対象の範囲を変更する。具体的には、伝記も射程に入れる。また修身教科書と対比するために、修身教科書と対峙することになる娯楽的読み物のエートス分析も視野に入れ、収集する資料を拡大する。
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