2015 Fiscal Year Annual Research Report
国家内少数言語話者の移住先での言語使用とネットワーク形成に関する基礎研究
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25870875
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
柿原 武史 南山大学, 外国語学部, 准教授 (10454927)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ガリシア / 移民互助組織 / ドイツ:ハノーファー / 少数言語 / 継承言語維持 / 言語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに実施した調査、収集した資料のさらに詳細な分析を行い、ブラジル(サン・パウロ、リオ・デ・ジャネイロ)及びアルゼンチン(ブエノス・アイレス)でのガリシア出身移民のネットワーク形成と言語・文化継承に関する現状と特徴を明らかにした。 ガリシアからの移民は、時期によって中南米諸国への移住が中心であったが、ドイツをはじめとする欧州諸国への移住が多い時期もあった。そのため、非スペイン語圏であり、文化的にも大きく異なる欧州諸国へと移住したガリシア移民の実態を知るべく、一例としてドイツのハノーファーにおけるガリシア人互助組織であるCentro Galego de Hannoverを取り上げることにした。11月上旬にハノーファー及びその近郊のミンスブルクにおいて現地調査を実施した。 インタビュー協力者によると、ハノーファーは1966年頃には、フランクフルトに次いでスペイン人が多い都市だったという。 1969年にハノーファー在住の12家族が集まって互助組織・レクリエーション組織が設立され、その後規模を拡大し、1981年6月19日にCentro Galego de Hannoverが設立された。ガリシア・バグパイプや民族音楽の演奏を行う活動や、3つのサッカーチームなどもあったという。最盛期の1990年頃には300以上の会員(家族)がおり、600人近い人々が同組織が主催する行事などに参加していたが、現在は会員は200人未満に減っている。同組織では、近年もガリシア自治政府の支援を受けたガリシア語講座を実施するなど言語・文化継承のための活動が行われ、定期的に会員が集まっている。 また、スペイン・ガリシア自治州においても現地での聞き取り調査を実施した。現地の初等中等教育学校における聞き取り調査では、ガリシア語の存在がますます周辺化しているという問題意識が教員の間で共有されていることがわかった。
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Research Products
(4 results)