2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25870911
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
ベ ヨンミ 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (80612556)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東アジア青年たちの思想交流 / 植民地朝鮮と台湾の留学生 / 雑誌『亜細亜公論』 / 早稲田大学東洋東洋思想研究室 / 李相佰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大正期~昭和戦前期に東京を舞台として行われた東アジア青年たちの思想交流とその歴史的意味を明らかにすることを課題とした。具体的には、『亜細亜公論』(1922年創刊)と、その後身『大東公論』、そして早稲田大学東洋東洋思想研究室教員の津田左右吉とその門下生の朝鮮・台湾、日本人大学院生の思想交流の成果である『東洋思想研究』(1937~1940)に集った筆者の構成と、文章の内容が、当時の日・朝・中・台の相互関係及び社会的状況の下でどのような特徴を持つのかを、思想史的に分析することである。この課題に関する研究成果は、数回の研究発表、論文作成、共著刊行を通じて発表した。 具体的には、東京におけるた東アジア青年たちの思想交流は、1910年代の運動組織としての新亜同盟党から、1920年代には公論の場としての雑誌『亜細亜公論』、『大東公論』へ、1930年代には学術の場としての早稲田大学東洋東洋思想研究室へと、その空間とメンバーを変えつつも、絶えることなく行われていたことを明らかにした。ここで注目すべきことは、「思想交流」という文字に見られるとおり、その思想が、帝国日本から外地(朝鮮・台湾)・中国へという一方的な伝播でなく、相互に影響し合ったことである。それは、本研究成果の中心である、早稲田大学東洋東洋思想研究室における、津田左右吉(教員)と李相佰(朝鮮人留学生)、郭明昆(台湾人留学生)の共同研究成果としての『東洋思想研究』やその他の文章の内容、そこで培われた人的ネットワークの継続からも言えることである。 このような帝国主義時代の思想交流の相互性は、さまざまな限界や問題を持ちつつも、大学のグローバル化が盛んに叫ばれる今日においてもきちんと認識すべき教訓ではないかと考える。
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