2014 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ熱帯雨林における先住民の「伝統的な生態学的知識」の習得・継承に関する研究
Project/Area Number |
25870969
|
Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
服部 志帆 天理大学, 国際学部, 講師 (50512232)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 伝統的な生態学的知識 / 森林保全 / 文化保全 / アフリカ / 熱帯雨林 / 知識の習得・継承 / ピグミー / 薬用植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカ熱帯雨林の保全とこの地域に暮らす先住民ピグミーの文化保全を達成するために、ピグミーがこれまでに森林とのインタラクションを通じて形成してきた「伝統的な生態学的知識(Traditional Ecological Knowledge、以下TEKとする)」に着目する。本研究の目的は、TEK・継承プロセスとTEKが置かれている状況を明らかにし、TEKが再生産される社会的経済的な条件を検討する。さらには、森林および文化の保全においてTEKが果たす役割と活用法について検討を行う。 平成26年度は体調不良のためフィールドワークを実施することができず、国内においてこれまで集めたデータの分析を行い、中部アフリカ研究会(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)において発表をおこなった。この研究会は、アフリカの熱帯雨林で狩猟採集民や農耕民の研究を行ってきた研究者たちによって構成されている。 発表の内容は、カメルーン東南部に暮らすピグミー系狩猟採集民バカの高齢女性がもつ薬用植物に関する知識とこれらの利用実態についてである。この事例研究をもとに、TEKの特性と継承について検討を行った。 また、米国の異文化比較学会において、アフリカの熱帯雨林で研究を実施してきた米国の研究者たちとセッションを組み、上述の研究内容を英語で発表した。現在はこの発表内容をもとに、英語と日本語の学術雑誌に投稿準備中である。なお、前年度と同様にこれまでに採集した1000体をこえる標本の維持・管理を中部アフリカを専門とする学生に行ってもらっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体調不良のために予定していたフィールドワークはできなかったが、その分、これまでのデータの整理と文献調査を行うことができたため、トータルではおおむねに順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に実施できなかったフィールドワークは平成27年度に実施する。これまでの調査から、TEKの特性と習得・継承についてのデータは蓄積されているので、今後はTEKを取り巻く社会的・経済的な状況を実施する。とくに、学校教育や賃労働などの影響を強く受け始めている集団を対象に調査を実施し、これまでに行ってきた伝統的な集団のデータを比較したい。また、ひとりでは包括的な調査をするのが難しいので、同地域で研究活動を実施ている研究者とともに研究会を開催し情報の提供を受ける。
|
Causes of Carryover |
体調を崩したため(診断書有)、フィールドワークの実施がかなわなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
カメルーンにおけるフィールドワークの実施と2回の国際学会参加・発表(オーストリア・ウィーンにおける国際狩猟採集民学会と米国ポートランドにおける異文化比較学会)を計画している。
|