2015 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ熱帯雨林における先住民の「伝統的な生態学的知識」の習得・継承に関する研究
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25870969
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
服部 志帆 天理大学, 国際学部, 講師 (50512232)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 伝統的な生態学的知識 / 森林保全 / 文化保全 / アフリカ / 熱帯雨林 / 知識の習得・継承 / ピグミー / 薬用植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカ熱帯雨林の保全とこの地域に暮らす先住民ピグミーの文化保全を達成するために、ピグミーがこれまで森林環境のなかで形成してきた「伝統的な生態学的な知識(Traditional Ecological Knowledge、以下TEKとする)」に着目している。1.TEKが習得・継承されていくプロセスと、2.TEKが現在置かれている状況を明らかにし、今後TEKが再生産されていく社会経済的な条件を明らかにしようとこころみている。3.森林および文化保全においてTEKが果たす役割とその活用方法について検討を行っている。 平成27年はこれまでのデータの分析を行い、アフリカ学会や熱帯生態学会、国際狩猟採集民学会の研究大会で発表を行った。具体的には、高齢女性の知識の特性や再生産されるプロセスを学会の参加者と議論し、考察を深めた。また、東南アジアの狩猟採集民と知識の比較研究を行い、狩猟採集民や熱帯雨林、定住化、農耕化、病などの観点から、ピグミーの知識の特性を検討した。その結果、アジアとアフリカの狩猟採集民のあいだで、植物の認識能力や全体的な知識数は大きく変わらないが、薬に関する知識数が大きく異なることがわかった。これは、定住化の影響が薬の知識に反映していることが考えられる。また、栽培をする作物によって知識数の減少の度合いが異なっていることも分かった。TEKが再生産されるか否かは、狩猟採集を続けることができる環境とともに、狩猟採集民が栽培する植物によっても変わってくることが明らかとなった。これらの大半を論文化しアクセプトされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度と27年度前半に体調を崩し、そのためフィールドワークがかなわなかった。これまで収集したデータを分析し、研究発表や論文執筆をおこなったが、知識の変容を検討するためにはデータが不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はフィールドワークを実施する。知識の変容を検討するため社会変容を経験している集団に調査を実施し、これまで調査を行ってきた伝統的な集団と比較する。
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Causes of Carryover |
体調を崩したため(診断書有)、フィールドワークの実施がかなわず、国際学会参加が精一杯であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年12月か平成29年3月にフィールドワークを計画している。
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