2014 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化を介してHMGB1の分泌を制御する因子の探索と制御機構の解明
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25870990
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
平 順一 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (20549612)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | HMGB1 / NLS / PKC / GSK-3 / CK2 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、HMGB1は配列中に2つの核移行シグナル配列 (NLS1およびNLS2) を有することが明らかとなっており、この核移行シグナル中のセリン残基のリン酸化は、HMGB1の核から細胞質への移行、及びその後の分泌に関与するという結果が得られている。前年度までにプロテインホスファターゼ2A(PP2A)がこの脱リン酸化に関与し、細胞質へのHMGB1の移行を抑制していることを報告した。また、変異体を用いた実験から、PP2Aにより脱リン酸化をうけるセリン残基を特定した。平成26年度は、核から細胞質への移行に重要と考えられたこれらの核移行シグナル中のセリン残基のリン酸化を行うキナーゼの探索を行った。多くのキナーゼには、リン酸化を行うために必要な配列モチーフが知られており、配列情報からリン酸化を行うキナーゼの推定が可能である。そこでPhosphomotif FinderというWeb上のキナーゼ推定プログラムを用いて、上記のセリン残基のリン酸化を行うキナーゼを探索したところ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3 (GSK-3)、カゼインキナーゼ2 (CK2)、プロテインキナーゼC (PKC)の3種類のキナーゼがその候補として推定された。そのうち、PKCはNLS1中のSer46と、NLS2中のSer181をリン酸化することが明らかとなった。GFPを融合したHMGB1の変異体の細胞内局在を解析したところ、Ser46のリン酸化はNLS1の核外への輸送に関わる結果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度には、GSK-3が核移行に関わるキナーゼかどうか、また、PKCはGSK-3のプライミングキナーゼとなるのかという点について検証を行うことを予定していた。本年度の検討で、GSK-3は核移行シグナル中のセリン残基のリン酸化には関与しないということが示唆され、上記の仮説には沿わなかったものの、PKCはNLS1中のセリン残基をリン酸化し、またその個所を正確に特定することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、HMGB1のリン酸化に関与する因子の探索とそれらのリン酸化特性の解析ををおこなう。
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Causes of Carryover |
想定していた仮説と異なる研究結果が出たため、実験内容を若干修正したことに加え、本年度は異動により所属機関が変更となったため、移行期間は実験が一時的に中断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
異動の為の移行期間中に中断した実験に使用する。
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