2013 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアNa+/Ca2+交換体の機能制御とその破綻による病態生理
Project/Area Number |
25870998
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
藤井 誠 福岡大学, 医学部, 講師 (30398086)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / Na+/Ca2+交換輸送体 |
Research Abstract |
ミトコンドリアは、ATP産生、アポトーシス誘導などの細胞の「生と死」に関わる重要な細胞内小器官であり、近年、これらの機能とミトコンドリアCa2+シグナリングとの関係が注目を集めている。本研究では、最近同定されたNCLX(ミトコンドリアNa+/Ca2+交換輸送体)に注目し、以下の解析を行った。 NCLXの組織分布を解析するために、抗NCLX抗体を作製し、野生型マウス由来の各臓器の粗膜画分を用いてウェスタンブロティングを行い、各組織におけるNCLX発現量を比較した。その結果、NCLXは、心臓、血管平滑筋、骨格筋などの筋組織に多く発現していることを見いだした。また、血管平滑筋由来培養細胞を用いて免疫染色を行い、NCLXがミトコンドリアに局在していることを明らかにした。 Na+/Ca2+交換輸送体は、ミトコンドリアに発現するNCLX以外に、細胞膜に異なるタイプ(NCX、NCKX)が発現していることが知られている。そこで、NCLX特異的な機能を解析することを試みた。近年、立体構造が明らかにされた古細菌CaCA(NCX相同遺伝子)のデータを元に、NCLX、NCKXの配列解析を行い、機能ドメインを推測した。これらの情報を元に、NCLX、NCKXの機能ドメインを入れ替えたキメラコンストラクトを作製した。今後、これらのキメラコンストラクトを哺乳動物細胞に発現させることにより、細胞内局在やイオン輸送に関与する機能領域の解明を進める予定である。さらに、NCLXの生理機能を個体レベルで解析するために、NCLX遺伝子欠損マウスを用いて個体レベルでの生理機能解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NCLXの機能をin vitroおよびin vivoで包括的に解析するために研究を進めている。これらの目的を果たすために、抗NCLX抗体や蛍光タンパク質等の各種タグを付加したNCLXコンストラクトを作製済みである。また、NCLX特異的な機能領域を同定するために、立体構造、配列解析のデータを元に相同遺伝子NCKXとNCLXの間で各種の機能ドメインを入れ替えたキメラコンストラクトを多数作製済みである。さらに、NCLXの生理機能を個体レベルで解析するためにNCLX遺伝子欠損マウスの作製を行い、個体レベルでの生理機能解析の準備を進めている。 この様に、おおむね順調に推移している。今後は、得られたこれらのツールを用いてNCLXの機能解析を進めて行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに作製した各種タグを付加したNCLXコンストラクトやNCKXとのキメラコンストラクトを哺乳動物細胞に発現させることにより、細胞内局在やイオン輸送に関与する機能領域の同定を行う。また、キメラコンストラクトを用いることにより、リン酸化やリン脂質等による活性制御の特異性を明らかにすることを目指す。 今後、NCLX遺伝子欠損マウスを用いて、運動機能、心血管機能などにおよぼす影響を個体レベルで明らかにする。さらには、他のNa+/Ca2+交換輸送体遺伝子欠損マウスもしくはトランスジェニックマウスとの多重交配を行い、得られたマウスを用いてNCLXの特異性な生理機能を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(7 results)