2013 Fiscal Year Research-status Report
温度感受性TRPチャネル活性化への温度依存的な細胞膜脂質流動性変化の関与
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25871061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
内田 邦敏 生理学研究所, 細胞器官研究系, 助教 (20581135)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 温度感受性TRPチャネル / 細胞膜コレステロール / 脂質平面膜法 |
Research Abstract |
まず、細胞膜コレステロールをmethyl-β-cyclodexitrinを処置することで除去した時の温度感受性TRPチャネルの活性化に違いが見られるかをカルシウムイメージング法を用いて検討した。その結果、熱刺激によるTRPV1の活性化は減弱し、一方で冷刺激によるTRPM8の活性は増強した。さらに比較的高い温度で活性化されるTRPM2の活性化もコレステロールを除去することによって現弱した。このコレステロールを除去すると温度と温度感受性TRPチャネル活性間に相関関係があることを示している。その可逆性もしくは流動性を変化させる目的でコレステロールを再添加して温度活性の変化を検討した結果、TRPM3などのいくつかのチャネルはコレステロールを添加すると活性がみられなくなった。 脂質が温度感受性TRPチャネルの活性にどう影響を与えるかを検討するために、脂質と精製したイオンチャネルのみで構成される実験系である脂質平面膜法の確立を行っている。現在までに高温で活性化されると報告されているTRPM3タンパク質の精製および膜への挿入に成功している。また、電気生理学的手法を用いてTRPM3の解析を行った結果、TRPM3チャネルはPOPCとPOPEで構成される脂質膜中という単純な環境下では温度によって活性化されないことを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画書に記載した通りに進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの結果より、温度依存性TRPチャネルの温度依存的な活性化と細胞膜脂質流動性との間に相関関係があることを見いだした。本年度は、その相関関係を詳細に検討することを目的として研究を遂行する。まず、脂質の成分を完全にコントロール可能な人工リポソームおよび脂質平面膜法を用いて、脂質とTRPチャネルのみのシンプルな実験系を構築する。GFPをfusionしたTRPチャネルを用いて、温度変化中の細胞膜の流動性とTRPチャネルの動き、特にラフトへのTRPチャネル集積の変化を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察する。また、コレステロールもしくは脂質の組成や温度依存的な動きとTRPチャネル活性の相関関係を電気生理学的手法を用いて検証する。次に細胞膜脂質と温度感受性TRPチャネルの温度依存性を、温度感受性TRPチャネル間での性質の類似性もしくは相違性によって分類し、その類似性をもしくは相違性を担っているTRPチャネルのアミノ酸配列(ドメイン構造)を特に脂質からの相互作用を受けやすい膜貫通ドメインおよびその付近に注目して比較することで、機能に関連した一次構造基盤を検索する。候補配列もしくはドメイン構造について、遺伝子変異体もしくはキメラ体を作製しHEK293細胞に強制発現させ、その機能の違いをパッチクランプ法を用いて確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験系の構築および予備検討のために来年度に予定していた研究の一部を今年度と入れ替えて実施する必要が生じたため。 主に消耗品、特に人工リポソーム調製および脂質平面膜に使用する精製脂質および電気生理学関連消耗品(ガラス電極、チャンバー等)、抗体およびmagnetic beadsなどのタンパク質精製用試薬、遺伝子導入用試薬、PCR用酵素などの支出にあてる。
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