2016 Fiscal Year Annual Research Report
Comparison of feeding ground usage of the dugongs between cold and warm seasons
Project/Area Number |
25871062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 光太郎 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (70590511)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 受動的音響観察 / ジュゴン |
Outline of Annual Research Achievements |
マレーシア・ジョホール州・ティンギ島およびシブ島において、雨季にあたる2016年11月8日から18日にかけて受動的音響観察を実施し、摂餌場とその沖側の地点について、ジュゴンの発声パターンを調べた。本海域にジュゴン用自動水中音録音機AUSOMS-Dを11月12日に設置し、11月16日に回収した。合計録音時間は99時間であった。狭帯域音強調による鳴音の自動検出によって一時間あたりの発声頻度の変化を応答変数、時刻を説明変数とした一般化線形混合モデルによって時刻の効果を解析した。それぞれの調査地点をランダム効果とした。沖側の地点について、鳴音は合計で113回検出された。1時間あたりの発声回数の最大は11月15日の1200-1300時に41回あった。このとき、多くがトリルであった。ほぼすべての鳴音が1200-1700時の間に記録された。発声の周期を示す自己相関関数は22.8時間で最大値をとった。ティンギ島沖側に生息するジュゴンの発声は午後に活発になることが示唆された。これまでの本プロジェクトに係る乾季の調査からは、本調査海域において一日中鳴音が観察されていた。鳴音が観察されなかった時間の最長時間は90分であった。これは複数個体が当該海域に入れ替わり来遊していたことを示す。この海域には餌となる海草が生育していないため、ジュゴンはこの海域にただ鳴くために来ていることが示された。この結果は雨季の結果とは大きく異なる。マレーシア・ジョホール州・ティンギ島およびシブ島周辺に生息するジュゴンの発声パターンは季節変化に伴って変化することが示唆された。 なお、タイ国において現地研究機関が実施した調査に対して市民デモが発生した。さらにスーダンにおいても治安が回復しなかった。このような状況で最大の成果を上げるために、代替調査地であるマレーシアにおいて研究を遂行した。
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