2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Transformation of Nations in the Former Polish-Lithuanian Commonwealth in the Middle Nineteenth Century: the Vertical Extension and the Horizontal Reduction
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25884002
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
梶 さやか 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70555408)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2017-03-31
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Keywords | 西洋史 / 近代史 / ナショナリズム / ポーランド:リトアニア:ベラルーシ:ロシア / 知識人 / 多言語社会 / シンボル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、主に十一月蜂起と一月蜂起の間の時代のリトアニアやベラルーシの地域主義的な文化・学術・社会活動を取り上げた。海外出張を行ってそのための新しい資料を収集し、以下のことを明らかにした。 ①十一月蜂起敗北後にフランス等の西欧に亡命した者のなかにはリトアニア・ルーシ出身者も多く、リトアニア協会(のちリトアニア・ルーシ地域協会と改名)が結成され、リトアニア語話者農民の蜂起参加も含む当該地域での蜂起の展開を伝え、顕彰し、関連資料を保存・公刊する活動に従事した。だが亡命者の大半はシュラフタであり、他言語の民衆を排除はしないものの、ポーランド文化を共有するエリート中心の、ポーランド・リトアニア・ルーシが対等な要素となる統一ポーランドの再興を支持する運動が中心となった。 ②ジェマイティヤ司教M・ヴァランチュスはカトリック教会内のリトアニア語話者の待遇を改善させ、教区の農民を禁酒運動やリトアニア語出版物の密輸に動員した。だがそれはリトアニアの近代ナショナリズムそのものではなく、むしろカトリック信仰護持のための教会への民衆の取り込みと位置付けるべきである。 ③ベラルーシの民衆文化のポーランド語文学・芸術への取り込みと、ベラルーシ語文学確立の試みは相互に関連しながら並行して行われた。これらの活動に従事した者の中には、他言語の民衆を少なくとも受動的なレヴェルで旧「共和国」全体のネイションの範囲に加えていた者がいた。一方で、ポーランドからのベラルーシの分離やその地理的範囲の確定、古ルーシの伝統や正教の強調には、旧リトアニア大公国は西ルーシ国家であるという、ロシアの西ルーシ主義が大きな影響を与えた。 以上のうち②と③の成果の一部については個別の共著で公刊される予定である。またこれまでに行った両蜂起におけるネイションの垂直的な拡大と水平的な縮小に関する研究成果の一部は単著として公刊した。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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