2013 Fiscal Year Annual Research Report
中小企業が求める「コンピテンシー」と大学教育の職業的レリバンスの関係に関する研究
Project/Area Number |
25885003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
徳井 美智代 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任准教授 (40704896)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 中小企業 / コンピテンシー / 職業的レリバンス / 職業教育 / 大学教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中小企業への入職後に発生する雇用のミスマッチの要因を探求することである。そこで、中小企業の従業者に求められる「コンピテンシー(行動能力)」に着目し、大学教育における職業的レリバンス(関連性)の現状とどのような接続関係にあるのかについて検討を行う。そのために、1.中小企業で必要とされている「コンピテンシー」の抽出、2.中小企業と大学教育の両者が想定する「コンピテンシー」の差異を明らかにする、ことを課題とする。本年度は、次の3つの点から研究を進めた。第1に関連する先行研究のサーベイ、第2に人事・採用に関連する企業内・業界内資料の収集、及び高等教育機関におけるキャリア教育に関する資料の収集、第3に調査対象企業の選定と予備調査である。以下に、具体的に取組内容を示す。 1.国内外の中小企業研究、労使関係研究、社会政策研究、高等教育研究、教育政策研究を概観し、本研究課題に関連するトピックについて整理、分析を行った。これにより、歴史的経緯を踏まえたうえで近年の研究動向と潮流を把握することができ、次年度に発表・執筆する際に必要な、研究の背景とレビューに相当する部分についての準備が進んだ。 2.九州と北海道の就業支援施設を訪問し、企業と従業者の双方に対する期待の差異について、事例を交えた話を聞くことができた。とりわけ中小企業にみられる雇用のミスマッチの要因に関して有用な知見が得られた。 併せて、国内における関連学会及び研究会に参加し、研究課題に関する資料の収集を行った。また、高等教育機関で行った卒業生調査、企業アンケートの結果を入手し、企業が求める「コンピテンシー」を抽出するための分析に着手した。 3.北海道、東京、九州の業界団体と接触し、調査の可能性、方法、対象の選定について聞き取りを行った。結果、次年度に中小企業に対して行うアンケート調査に向けての下地が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、1.関連する領域を含む広い範囲から、書籍、文書、データ等の情報収集を行うことができた、2.調査対象の選定が進み、次年度に行うアンケート調査に向けての見通しをたてることができた、という点からみて、おおむね順調に進展していると考える。ただし、データや資料の集積が進むにつれ、新たに多くの論点が導出される傾向にあるため、アンケート調査票の項目が未だ固まらず、次年度に持ち越しとなった。次年度はアンケート結果の分析が重要な課題となるため、スピードを上げて仕上げていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、定量的調査(アンケート調査)を軸とし、それを補う質的調査として企業、従業者へのインタビューを行い、結果の集計、分析を進める。その分析結果から、1.中小企業において、実際に人事考課・評価の指標となっている「コンピテンシー」を明らかにすることを目指す。さらに、入手済みの高等教育機関で行った企業調査、卒業生調査のデータ分析を進め、2.中小企業が学卒従業者に求める「コンピテンシー」の質、3.中小企業で働く学卒者による大学教育の評価、について考察をすすめる。以上の分析を複合的に検討した上で、4.企業の期待と従業者の目標の差異を検討し、中小企業への入職後に起きる雇用のミスマッチの要因を明らかにする。 最終的に、以上の研究成果を学会で発表し、論文にまとめることを到達点とする。併せて、本研究結果をWeb上でも公開する予定である。
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