2013 Fiscal Year Annual Research Report
サービスプロセスに基づく動的な顧客特性の抽出に関する実証研究
Project/Area Number |
25885040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
増田 央 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教 (70708875)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 動的なサービス評価 / ビジネスプロセスモデリング / 顧客側からのサービス分類 |
Research Abstract |
ここでは、対人サービス業に対する、ビジネスプロセスモデリングを応用したアンケートシステムのモデル構築を行った。以下、A.手法開発、B.実証研究、C.研究発表、D.告知・広報に関しての実績を述べる。 A. 手法開発: 本手法の狙いは、顧客の多様性の理解を深め、サービスの設計を支援するためのデータ取得環境の構築にある。アプローチ方法として、ビジネスプロセスモデリングを活用した対人サービスに対するアンケートシステムのモデルを構築した。従来のビジネスプロセスモデリングの視点は、企業側から見た価値提供の過程を理解・修正を加えるものである。ここでは、顧客側からの価値受容の過程を理解・修正するために、ビジネスプロセスモデリングを活用する。本モデルの特徴は、対人サービスにおける、提供者と顧客の状態、サービスプロセス、顧客満足や緊張・不安などといったサービス評価を関連付けた点である。このような提供者/顧客の状態・プロセス・サービス評価のパターンを蓄積することで、どのような提供者/顧客に対して、どのようなプロセスに対する、サービス評価が変化するか、といった構造を体系化する。 B. 実証研究: 本提案モデルの視点により、過去に構築した動的な顧客満足度モデルの再解釈を行った。特に、飲食店の価格差、携帯電話利用におけるユーザの買い替え件数、旅館のユーザの利用頻度による差異を見た。 C. 研究発表: 本手法に関するコンセプトモデルに関して、国際会議 ACIS2013での発表を行った。過去に構築した動的な顧客満足度モデルの本モデルによる再解釈に関する実証研究は国際会議ICSOC2014へ論文投稿を行った。 D. 告知・広報: 本研究に関するWebサイトを構築し、本研究に関する成果の告知・広報の場所を整えた(http://www.jaist.ac.jp/~masuda/research/)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動的な顧客特性把握のための、データ取得のポイントを定める理論的背景の構築に関して、時間をかけている。これは、外部の研究者や学会等での議論を踏まえ、アンケートシステム構築の方向性の修正を行っているためである。 対人サービスにおけるサービス提供において、顧客の緊張や不安が重要な要素であることが示唆されている。例えば、江戸前鮨と回転寿司の心理学的な側面からの比較において、江戸前鮨の顧客特性は、緊張・不安を強いるサービス提供を受け入れている。一方、回転寿司の顧客特性は、緊張・不安を回避する傾向にあるとの示唆が与えられている。また、緊張・不安の解消の実例として、地方バス事業において、利用者数の減少から増加へと転じることに成功した、十勝バスの取り組みを上げることができる。 今後のサービスの設計に関して、このような顧客側の不安・緊張のメカニズムを考慮することがサービス利用を促進するために必要であると考えられる。サービス・デザインの観点からも、要素還元ではない、全体的・包括的な設計が主張されている。 このように、現時点におけるサービス研究の動向、また、サービス・デザインの方向性を把握し、本提案モデルの特性を位置づける。具体的には、サービスのインタラクションにおける緊張・不安という特性を汲み取りサービス・デザインを支援するための、データ取得方法を構築する。H26年度は、この方向性でシステムを整備し、Webアンケートとしてのユーザー・インターフェイスの構築、実証研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
初めに、本アンケートシステムに対するデータ取得を行うための、ユーザ・インターフェイス構築を行う。インターフェイスの構築に関しては、スマートフォン、タブレット端末において、本提案視点を盛り込む既存のテンプレートに対して、ユーザが項目を選択・記入可能なものを想定している。 その後、端末へのダウンロード型のパッケージ・モデルを構築し、タブレット端末やスマートフォンを使用したプロトタイプ的な実証研究を行う。それらのデータを用いる、予備的な実証研究に関しては、学生を対象として、小売・飲食業といったデータを取得し、顧客側からのサービス分類を行う。 結果に関して、国内会議で研究発表を行い、本アンケートシステム構築の方向性に対する、外部の研究者からのフィードバックを得る。 次に、直接、サーバ上で、データ蓄積・分析を実行可能にするシステム構築を行う。本提案システムでのWebアンケートサイトをサーバに実装し、ログインタイプのWebアンケートとして利用可能とする。このWebアンケート・システムを用いて、学外でのデータ取得、実証を行う。 最終的に、これらの結果をまとめ、"Journal of Marketing Research"への論文投稿を行う。
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