2013 Fiscal Year Annual Research Report
多様性進化の生態的帰結:進化と生態の相互作用から迫るマクロ生物学的動態
Project/Area Number |
25891004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 佑磨 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (00707622)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
個体群生態学や群集生態学は伝統的に生物の人口学的動態の機構を明らかにすることを本懐とした学問である。一方、進化学は生物の形質の変化をもたらす機構や、その発生学的/遺伝学的基盤の解明を第一の目標としてきた。結果として、個体数の動態を扱う生態学と形質の変化を扱う進化学は、個別に発展してきたという経緯がある。しかしながら、現実には、あらゆる形質の進化的な変化は人生態的動態に影響する可能性がある。自然選択や性選択による生物の形質の適応的な進化は、生活史形質の変化を通じて、その生物が集団の動態に影響しうるのである。したがって、形質の動態や個体数の動態といったマクロな生物動態を理解/予測するためには、進化的変化とその帰結の間に潜む因果性やその詳細な機構を正確に理解する必要がある。本研究では、1)種内の平衡多型の進化とその生態的帰結、2)確率的過程で生じる遺伝的多様性とその生態的帰結を明らかにすることを目的とした。 雌に色彩多型を生じるイトトンボ類では、種内多型の進化が個体群過程に与える影響を解析した(投稿中)。花色に2型を生じるニワゼキショウ類では色彩多型の維持機構と型比の空間変異の成立機構を明らかにするとともに、色彩の多様度が個体群過程に与える影響を解析した。いずれの系においても多様度の高い場合に集団密度や集団の増殖率が高くなることが示された。 イトトンボ類の2種を用いて各種の分布域内でミトコンドリアの遺伝子と核の遺伝子で遺伝的多様性を調べたところ、多様度の高い集団では適応的な表現型が認めらたものの、多様度の低い集団では非適応的な形質を示すことがわかった。また、多様度が低くなるのは分布域の辺縁であり、多様性の欠如が分布域の制限になっている可能性が示された。遺伝的多様性の詳細な評価を行なうため、次世代シーケンサーを用いたRAD-seqにより得られた配列情報をもとにさらなる解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)