2013 Fiscal Year Annual Research Report
早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)適用の病理学的裏付け
Project/Area Number |
25893191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
堀之内 道子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (50336335)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 病理学 / 早期胃癌 / ESD |
Research Abstract |
早期胃癌において、胃癌取扱い規約でpT1a(M)と表記される粘膜内癌には(1)粘膜筋板への浸潤を伴わない粘膜内癌と(2)粘膜筋板への浸潤を伴う粘膜内癌とが含まれる。粘膜内癌の中には稀ではあるがリンパ節転移を伴う症例が見られることから、胃癌の粘膜筋板浸潤の意義を明確にする必要がある。 我々の研究室での様々なヒト腫瘍におけるムチン性糖蛋白抗原発現の一連の研究において、膜結合型ムチンであるMUC1とMUC4の発現は不良な予後に関係し、分泌型ムチンであるMUC2の発現は良好な予後に関係することが明らかになってきており(Yonezawa S et al: Pathol Int 61: 697-716, 2011; Yonezawa S et al: Proteomics 8, 3329-3341, 2008)、最近、早期胃癌についてもMUC1やMUC4の発現が脈管侵襲やリンパ節転移に関連する予後不良の因子となることが解明された(Tamura et al: PLOS ONE 7 e49251, 2012)。 粘膜筋板浸潤の有無により分けた粘膜内癌と、粘膜下組織浸潤癌について、脈管侵襲の程度やムチンの発現を比較検討し、ESD適用範囲に対する病理学的裏付けを検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの早期胃癌摘出症例の中で、pT1a(M)症例約780例、pT1a(MM)症例約60例について臨床病理学的事項を確認し、解析している。加えて、組織におけるMUC1遺伝子発現を解析するために、リアルタイムPCRによる条件検討をも行っている。 組織ブロックについては、以前の症例については保存されていなかったりブロックを入手できなかった症例があった。pT1a(MM)症例についてこれまでに確認できたのは44例であり、pT1a(M)代表症例とともに免疫組織学的事項を検索しているところである。 癌細胞におけるムチンの発現についてはMUC1コア蛋白(MUC1/DF3)、MUC1細胞質内ドメイン(MUC1/014E)、MUC4(MUC4/8G7、MUC4/1G8)とを比較する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に臨床病理学的事項を確認し終えなかった症例について、再検索を行う。さらに、組織におけるMUC1遺伝子発現解析と、免疫染色によるMUC1発現解析とを比較する。 また対象症例pT1b(SM)症例に拡げて、臨床病理学的事項を確認する。代表症例について免疫染色を行い、早期胃癌における脈管侵襲とリンパ節転移の有無、ムチンの発現を比較検討していく。
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