2013 Fiscal Year Annual Research Report
マウス骨髄脂肪の加齢におけるスフィンゴ脂質変化の解析とその造血幹細胞に与える影響
Project/Area Number |
25893269
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
小木曽 英夫 金沢医科大学, 医学部, 特定講師 (30466734)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | スフィンゴ脂質 / 質量分析 / グリセロリン脂質 / ジアシルグリセロール / 細胞膜 / リピドミクス / 骨髄間質細胞 |
Research Abstract |
1.スフィンゴ脂質を中心とした包括的リピドミクス手法の開発 一連のスフィンゴ脂質(Cer, S1P, Sph, SM, Cer1P, HexCer, LacCer, GM3)を包括的に定量測定できるLC-MS法を新たに開発した。本方法では、スフィンゴミエリン合成酵素(SMS)の代謝物としてのホスファチジルコリンとジアシルグリセロールの測定も可能であり、SMSの関わる代謝変化を解析するための有効な手段となった。さらに、コレステロール解析を追加することで、細胞膜脂質マイクロドメインを構成する脂質群の変動を解析することも可能となった。本方法を用いてSMS2ノックアウトマウスの臓器を解析したところ、肝臓においてSM(d18:1/22:0), SM(d18:1/24:0)が減少し、HexCer(d18:1/22:0), HexCer(d18:1/24:0)が上昇していることがわかった。同時にDHA含有グリセロリン脂質が上昇しており、スフィンゴ脂質代謝の変化がグリセロリン脂質の脂肪酸組成に影響を与えることがわかった。 2.骨髄間質細胞株(MC3T3-G2/PA6)の細胞膜脂質の解析 細胞膜のプロテオーム解析に用いられている、カチオニックコロイダルシリカビーズ(CS)法による細胞膜分離技術を細胞膜リピドミクスに応用するために、CS法を改変した。骨髄間質細胞(MC3T3-G2/PA6)およびマウス胚性線維芽細胞(MEF)の細胞膜脂質解析に、この改変CS法を適用し細胞膜構成脂質の違いを明らかにした。これにより脂質構成と機能とを相関付けることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたスフィンゴ脂質群の測定のみの解析では、脂質機能と脂質分子種とを結びつけることに制限があった。このため、スフィンゴ脂質にとどまらず他の生体膜構成脂質まで解析対象を拡張すると同時に、細胞膜やマイクロドメイン画分の分離手法を検討したため、予定より時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞の生死や分化に、スフィンゴ脂質分子がどのように関わるかをより詳細に解析するためには、細胞全体や臓器全体を解析対象とするばかりでなく、より詳細な膜画分を対象とする必要性を感じた。具体的には、細胞膜ラフトやエキソソーム等の膜の脂質解析を行う方向に注力する。骨髄間質細胞が老化に伴い脂肪細胞へ分化する過程で、細胞内外の脂質変化を解析することにより、骨髄間質細胞が持つ造血維持能にどのような脂質分子や脂質マイクロドメイン構造などが関わるかを明らかにしていく。
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