2013 Fiscal Year Annual Research Report
骨伝導性と加工性を調和させた網目状構造を有する新規骨再生用足場材の創製
Project/Area Number |
25893284
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
荒平 高章 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (30706958)
|
Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
Keywords | 多孔質足場材 / 生分解性高分子 / 生体活性セラミックス / 力学特性 |
Research Abstract |
骨再生治療に用いられる生体活性セラミックス(β一TCP)製多孔質足場材は,その低強度及び,脆性的性質により成形加工が困難なため適用部位が限定される。強度並びに加工性を向上させる手法として多孔体表面を生分解性高分子でコーティングする手法があるが,骨面に接する最表層が覆われてしまうため,骨伝導性が阻害される問題点がある.したがって,本研究では,骨伝導性と加工性に優れる新規多孔質足場材の創製を目標としている.生体活性セラミックスβ一TCP製多孔質足場材の表面を生分解性高分子であるポリ乳酸でコーティングし,乾燥させることでコーティング層中に網目状の空孔部を形成させ,セラミックス部を露出させた力学特性,操作性に優れる新規2相構造型足場材を作製した.β一TCP多孔体のみでは,低強度,脆性的性質から,すぐに構造が破綻してしまう現象が確認されたが,ポリ乳酸でコーティングすることで,構造安定性・操作性は大きく向上した.コーティングするポリ乳酸の含有濃度を変化させると,網目状構造の網目の大きさが変化することが分かり,また濃度によっては表層のコーティングのみで網目状構造が形成されないものも存在した.したがって,コーティングする際の濃度を変化させることで,コーティング層の構造を変化させることが可能となり,目的に応じた様々な2相構造型足場材の作製が可能となることが示唆された.網目状構造にすることによって,表層全体のコーティングに比べ,力学特性は劣るが,生体活性セラミックスの持つ細胞親和性向上効果が期待できるため,その有用性について次年度で検討を行う.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,25年度実施の網目構造を有する足場材の作製に時間を要する可能性があったが,目的の足場材の作製に成功することができ,当初の計画通りに進行している.ただし,コーティングする生分解性高分子の濃度によって網目の孔径などが異なるため,それが細胞実験などに及ぼす影響についても検討を行う必要がある.平成26年度は細胞実験,動物実験を実施予定であり,細胞親和性,生体親和性,骨伝導性に関して評価を行う予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度(~平成27年3月31日)の研究実施計画 平成26年度は選定した足場材を用いた細胞培養実験および動物実験を実施する.以下に具体的な実験内容について記述する.<幹細胞培養実験>細胞増殖能・細胞分化能の測定・評価(培養日数3,5,7,14日):マイクロプレートリーダを用いて,生細胞数測定およびALP活性測定を行う.また,細胞増殖能については,走査型電子顕微鏡を用いて観察する.またアリザリンレッド染色を行い,骨芽細胞分化状態の可視化を行う.細胞培養による力学特性・ECM形成挙動の評価:力学特性は圧縮試験による圧縮弾性率,圧縮強度により評価する.また,足場材のみについても同様の実験を行い,比較対象とする.走査型電子顕微鏡,光学顕微鏡等を用いてECM形成挙動の観察を行う.<動物実験>作製した材料の操作性および,セラミックスによる骨伝導性確認のための動物実験を行う.移植後の材料の吸収状態,骨形成状態をμ-CTおよび組織切片によって評価する.また,移植後の経過によって炎症反応などについても観察する.<本研究のまとめ>本研究内容を総合的にまとめる.得られた成果は,学会や論文にて発表を行い,学内のホームページに掲載する.
|