2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26000005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶田 隆章 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40185773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 静児 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40301725)
黒田 和明 東京大学, 宇宙線研究所, 名誉教授 (00242165)
大橋 正健 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (80213833)
鈴木 敏一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器科学支援センター, シニアフェロー (20162977)
フラミニオ ラファエレ 国立天文台, 重力波プロジェクト推進室, 特任教授 (10723108)
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Project Period (FY) |
2014 – 2018
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Keywords | 重力波 / 中性子星連星 / レーザー干渉計 / ブラックホール / 一般相対論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、KAGRAの試験運転に向けた神岡での準備を進めた。まず最初に、レーザーをはじめとする入射光学系の調整およびその周波数安定化システムの構築が行われた。特に、懸架されたミラーで構成されるモードクリーナーの設置が完了し、これを用いたレーザーの周波数安定化に成功した。これは大出力レーザーの周波数安定化実験を兼ねたものとなった。次に、折り返し鏡とその防振装置を真空容器内に設置した。 また、レーザー干渉計の制御のための電子回路類と制御用のコンピュータシステムを設置・調整した。ここにおいて特筆すべき点は、ガーディアンと呼ばれる統合ソフトウェアの組込をLIGO研究者と共同して行ない、それが見事に稼働したことである。これにより、レーザー干渉計の運転を非常にスムーズにエレガントに実行することが可能となった。 ここまでの一通りの設置・調整が済んだところで、レーザー光を干渉計本体に導入し、少しずつ調整をしながら基線長3kmのマイケルソン干渉計全体をシステムとして稼働させ、2016年3月25日から3月31日まで試験運転を実行した。この際には干渉計の運転のみならず、データを取得して、データ解析まで全体を通してシステムとして稼働させることに成功した。 以上の当初研究計画に加え、平成27年11月から調整金等交付分により超精密干渉計制御システムの構築に着手した。具体的には干渉計制御回路を製作し、それに対応する光学系の整備を行った。試験運転で得られた結果については、現在、まとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に達成すべき目標であったKAGRAの試験運転に向けた準備を着々と進め、それを実行できたということで、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
重力波望遠鏡KAGRAの共同研究者は既に国内外合わせて200人を超えているが、今後もKAGRAの研究に参加する研究者を増やしていくことが大切である。これについては、例えば、神岡に近い富山大学の研究者に分担者として本研究に参加してもらうなどの努力をしてきた。それによって幅広い研究組織を構築することができ、新たな感度向上方法の発案などが期待できる。 本研究では最先端研究基盤事業及び概算要求による施設整備費により整備された装置を出発点とし、その迅速な運転開始及び標準量子限界をも超える高度化のための先進的技術を開発することを目指している。それらの技術を備え付けた最先端装置のコミッショニングとその安定動作を迅速に行い、できるだけ早い時期に重力波の観測を開始することが目標である。 この目標を本研究期間内に確実に達成するため、以下のようなマイル・ストーンを設定している。まず、常温の鏡を用いたシンプルな干渉計を動作させ、3kmという我々にとって未経験の大型干渉計動作に関する経験を得る。これについては平成27年度中に達成することができた。この経験をもとにシステムに改良を加え、この巨大なレーザー干渉計に、光のリサイクリングシステム、干渉信号中のノイズ除去を加え、更には鏡も極低温で動作させて、標準量子限界を超える最終目標感度で重力波観測を行うことを目標とする。これらの技術を盛り込んだ干渉計の動作を平成29年度中に達成したいと考えている。
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Research Products
(61 results)
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[Journal Article] Mechanical loss in state-of-the-art. amorphous optical coatings2016
Author(s)
Massimo Granata, Emeline Saracco, Nazario Morgado, Alix Cajgfinger, Cianpietro Cagnoli, Jérôme Degallaix, Vincent Dolique, Danièle Forest, Janyce Franc, Christophe Michel, Laurent Pinard, and Raffaele Flaminio
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Journal Title
Physical Review D
Volume: 93
Pages: 12007
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Characterization of the room temperature payload prototype for the cryogenic interferometric gravitational wave detector KAGR2016
Author(s)
Fabián Erasmo Peña Arellano, Takanori Sekiguchi, Yoshinori Fujii, Ryutaro Takahashi, Mark Barton, Naoatsu Hirata, Ayaka Shoda, Joris van Heijningen, Raffaele Flaminio, Riccardo DeSalvo, Koki Okutumi, Tomotada Akutsu, Yoichi Aso, Hideharu Ishizaki, Takashi Uchiyama, Osamu Miyakawa, Masahiro Kamiizumi, Akiteru Takamori, Ettore Majorana, Jo van den Brand and Alessandro Bertolini
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Journal Title
Review of Scientific Instruments
Volume: 87
Pages: 34501
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Gravitational wave astronomy : the current status2015
Author(s)
David Blair, Li Ju, ChunNong Zhao, LinQing Wen, Qi Chu, Qi Fang, RongGen Cai, JiangRui Gao, XueChun Lin, Dong Liu, Ling-An Wu, ZongHong Zhu, David H. Reitze, Koji Arai, Fan Zhang, Raffaele Flaminio, XingJiang Zhu, George Hobbs, Richard N. Manchester, Ryan M. Shannon, Carlo Baccigalupi, Wei Gao, Peng Xu, Xing Bian, ZhouJian Cao, ZiJing Chang, Peng Dong, XueFei Gong, ShuangLin Huang.
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Journal Title
Science China-Physics Mechanics & Astronomy
Volume: 58
Pages: 120402
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] KAGRA用入射光学系の開発(4)2016
Author(s)
中野雅之, 上泉眞裕, 川村静児, 苔山圭以子, 長野晃士, 宮川治, 阿久津智忠, 麻生洋一, 道村唯太, 宗宮健太郎, 加川智大
Organizer
日本物理学会2016年春季大会
Place of Presentation
東北学院大学
Year and Date
2016-03-22
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[Presentation] 重力波検出器用の光アイソレーターの開発ⅠⅠ2016
Author(s)
片岡優, 宗宮健太郎, 矢野和城, 熱田将, 柳沼拓哉, 粕谷順子, David Tanner, 中野雅之, 阿久津智忠, KAGRA Collaboration
Organizer
日本物理学会2016年春季大会
Place of Presentation
東北学院大学
Year and Date
2016-03-22
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[Presentation] KAGRA低温系の現状2016
Author(s)
鈴木敏一, Rahul Kumar, 萩原綾子, 都丸隆行, 木村誠宏, 宮本昂拓, 田中宏樹, Kieran Craig, 山元一広, 梶田隆章, KAGRA Cryogenics Subgroup
Organizer
日本物理学会2016年春季大会
Place of Presentation
東北学院大学
Year and Date
2016-03-21
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[Presentation] KAGRA用防振装置の開発XVI(全体)2016
Author(s)
正田亜八香, 高橋竜太郎, 奥富弘基, 藤井善範, 関口貴令, F. E. Pena Arellano, M. Barton, 麻生洋一, R. Flaminio, 山元一広, E. Majorana
Organizer
日本物理学会2016年春季大会
Place of Presentation
東北学院大学
Year and Date
2016-03-21
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[Presentation] KAGRA用防振装置の開発XVIII(制御系)2016
Author(s)
奥富弘基, 高橋竜太郎, 正田亜八香, 藤井善範, F. E. Pena Arellano, M. Barton, 関口貴令, 阿久津智忠, 麻生洋一, R. Flaminio, 山元一広, KAGRA collaboration
Organizer
日本物理学会2016年春季大会
Place of Presentation
東北学院大学
Year and Date
2016-03-21
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[Presentation] iKAGRAデータ転送・保管システムの開発III(システム構築と試運転)2016
Author(s)
神田展行, 端山和大, 伊藤洋介, 金山雅人, 宮川治, 宮本晃伸, 三代木伸二, 大原謙一, 田越秀行, 高橋弘毅, 横澤孝章
Organizer
日本物理学会2016年春季大会
Place of Presentation
東北学院大学
Year and Date
2016-03-21
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[Presentation] 重力波観測に向けたレーザー強度安定化システムの開発ⅠⅠ2015
Author(s)
杉本裕介, 森脇喜紀, 松島房和, 小林かおり, 加川智大, 蒲原尚吾, 藤澤毬衣, 古畑貴行, 川村静児, 宮川治, 苔山圭以子, 中野雅之, 寺田総一, 阿久津智忠, 麻生洋一, 上田暁俊, 大石奈緒子, 道村唯太, 宗宮健太郎
Organizer
2015年度日本物理学会北陸支部定例学術講演会
Place of Presentation
金沢
Year and Date
2015-11-28
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[Presentation] KAGRA用防振装置の開発XIV(全体)2015
Author(s)
高橋竜太郎, 大石奈緒子, 石崎秀晴, F. E. Pena Arellano, M. Barton, 阿久津智忠, 麻生洋一, R. Flaminio, 山元一広, 内山隆, KAGRA collaboration
Organizer
日本物理学会2015年秋季大会
Place of Presentation
大阪市立大学
Year and Date
2015-09-27
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[Presentation] KAGRA用防振装置の開発XV(R&D)2015
Author(s)
奥富弘基, 高橋竜太郎, 関口貴令, 藤井善範, 阿久津智忠, 麻生洋一, R. Flaminio, 山元一広, 内山隆, KAGRA collaboration
Organizer
日本物理学会2015年秋季大会
Place of Presentation
大阪市立大学
Year and Date
2015-09-27
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[Presentation] KAGRA用低温懸架装置の開発VII2015
Author(s)
山元一広, 宮本昂拓, 田中宏樹, 内山隆, Simon Zeidler, 木村誠宏, R. Kumar, 鈴木敏一, 都丸隆行, E. Majorana, L. Naticchioni, KAGRA collaboration
Organizer
日本物理学会2015年秋季大会
Place of Presentation
大阪市立大学
Year and Date
2015-09-27
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[Presentation] KAGRA用入射光学系の開発(3)2015
Author(s)
中野雅之, 上泉眞裕, 川村静児, 苔山圭以子, 宮川治, 寺田総一, 阿久津智忠, 麻生洋一, 道村唯太, 宗宮健太郎, 佐藤孝
Organizer
日本物理学会2015年秋季大会
Place of Presentation
大阪市立大学
Year and Date
2015-09-27
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[Presentation] KAGRA用レーザー 強度安定化装置の開発2015
Author(s)
加川智大, 森脇喜紀, 松島房和, 小林かおり, 杉本裕介, 蒲原尚吾, 藤澤毬衣, 古畑貴行, 川村静児, 宮川治, 苔山圭以子, 中野雅之, 寺田総一, 阿久津智忠, 麻生洋一, 上田暁俊, 大石奈緒子, 道村唯太, 宗宮健太郎
Organizer
日本物理学会2015年秋季大会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
2015-09-19
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