2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26000005
|
Principal Investigator |
梶田 隆章 東京大学, 宇宙線研究所, 教授
|
Project Period (FY) |
2014 – 2019
|
Keywords | 重力波 / 一般相対性理論 / 中性子星連星 / レーザー干渉計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では重力波の観測と重力波天文学の創成を目指し、大型低温重力波望遠鏡KAGRAの研究基盤をベースに、熱雑音を最小化する低温懸架システムの開発、極低温鏡急速冷却方法の開発、グリーンレーザーを用いた干渉計の迅速かつ安定な動作状態獲得、新たな信号読み出し法を可能にし、干渉光に含まれる余計なノイズを削減する出力モードクリーナーの開発などを行った。また、レーザー強度雑音の低減、さらに最終的には自動で観測モードまで進む高度なデジタル制御システムの開発を行った。 これらの本研究で開発した多くの新アイデアや装置を導入し2019年にKAGRAを完成させ、2020年2月には重力波観測を開始した。2018年に初めて低温鏡をもちいた干渉計を運転したときと比べ、2020年3月時点で300Hzでは約5桁感度が改善している。また昨年12月から今年2月の間の感度向上の主な理由の一つは出力モードクリーナー動作による。感度においては数百Hz以上でほぼ目標を達成した。しかし、それ以下の低周波帯ではまだ理解されていないノイズが残り、極低温鏡の特性を生かして100Hz付近で標準量子限界を超える感度を達成するのは今後の課題である。 国際協力という観点からは、2019年10月4日にはLIGO, Virgo, KAGRAの国際観測ネットワーク構築に関する協定に調印し、今後は国際共同体制で観測を進めることになった。このことは、本研究の成果をベースにアジア・オセアニア地域の観測拠点が稼働し始めたことを意味する。国際観測ネットワークにKAGRAが参加すれば、重力波源の方向特定精度が格段に良くなるなど多くのメリットがあり、マルチメッセンジャー天文学に大きな貢献ができることになる。今後は、感度を向上させつつ観測を実行し、重力波天文学を進展させていく。それと共に重力波の観測データを通して天体物理学・宇宙論・原子核物理など基礎物理学の発展にも貢献し、さらには量子光学技術等への発展へも寄与することを目指していく。 なお、2019年9月にTAUP(宇宙粒子と地下での物理に関する国際会議)を富山市で開催し、本研究の成果を広く国際コミュニティに報告した。また、2020年4月現在、観測運転で取得されたデータの重力波探索解析が進められている。
|
Research Products
(102 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Design and experimental demonstration of a laser modulation system for future gravitational-wave detectors2019
Author(s)
Kohei Yamamoto, Keiko Kokeyama, Yuta Michimura, Yutaro Enomoto, Masayuki Nakano, Gui-Guo Ge, Tomoyuki Uehara, Kentaro Somiya, Kiwamu Izumi, Osamu Miyakawa, Takahiro Yamamoto, Takaaki Yokozawa, Yuta Fujikawa, Nobuyuki Fujii and Takaaki Kajita
-
Journal Title
Classical and Quantum Gravity
Volume: 36
Pages: 205009(19)
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 重力波望遠鏡KAGRAにおける透過光モニターを用いた腕共振器鏡の角度制御システムの開発2020
Author(s)
田中健太, 阿久津智忠, 長野晃士, 道村唯太, 長谷川邦彦, 正田亜八香, 苔山圭以子, 中野雅之, 牛場崇文, Eleonora Capocasa, Lucia Trozzo, 宮川治, et al.
Organizer
日本物理学会第2020年春季大会
-
-
-
-
-
[Presentation] KAGRA極低温鏡懸架システムにおける制御雑音の評価2020
Author(s)
山田智宏, 牛場崇文, 奥富弘基, Lucia Trozzo, 中野雅之, 横澤孝章, 藤井善範, 山元一広, 鈴木敏一, 都丸隆行, 梶田隆章
Organizer
日本物理学会第2020年春季大会
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Cryogenic2019
Author(s)
Kazuhiro Yamamoto
Organizer
Gravitational Wave Challenges and Cosmology, International Institute of Physics
Int'l Joint Research / Invited
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] KAGRAにおける透過光モニター用防振台の全自由度制御Ⅱ2019
Author(s)
田中健太, 阿久津智忠, 長野晃士, 道村唯太, 長谷川邦彦, 正田亜八香, 藤井善範, 谷岡諭, 奥富弘基, 大渕喜之, 浦口史寛, 池之上文吾, 都築俊宏, 福嶋美津広, 宮川治, et al.
Organizer
日本物理学会 2019年秋季大会
-
-
[Presentation] KAGRA腕共振器鏡のための9段防振懸架システムの制御2019
Author(s)
奥富弘基, 藤井善範, L. Trozzo, 高橋竜太郎, 正田亜八香, 山田智宏, 牛場崇文, 中野雅之, S. W. Ballmer, 横澤孝章, 山本尚弘, 阿久津智忠, 麻生洋一, 都丸隆行, et al.
Organizer
日本物理学会 2019年秋季大会
-
[Presentation] KAGRA低温系の現状Ⅵ(低温懸架系の性能評価Ⅲ)2019
Author(s)
山元一広, 井上優貴, 牛場崇文, 木村誠宏, 鈴木敏一, 高田卓, 都丸隆行, Travasso Flavio, Bajpai Rishabh, Vocca Helios, Majorana Ettorre, 山田智宏, 梶田隆章, 三代木伸二, et al.
Organizer
日本物理学会 2019年秋季大会
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Summary Pages を用いた重力波検出器KAGRAの特性評価 Ⅱ2019
Author(s)
苔山圭以子, Pil-Jong Jun, 譲原浩貴, 山本尚弘, 横澤孝章, 押野翔一, 宮川治, 田越秀行, Siddharth Soni, Alex Urban, Duncan MacLeod
Organizer
日本物理学会 2019年秋季大会
-
-
-
-
[Presentation] 大型低温重力波望遠鏡KAGRAにおける干渉計制御用変調システムの雑音源の探査2019
Author(s)
冨士川雄太, 山本晃平, 苔山圭以子, 横澤孝章, 上原知幸, 中野雅之, 開発輝一, 森有紀乃, 鈴木孝昌, 佐藤孝, 大河正志
Organizer
電子情報通信学会ソサイエティ大会
-
[Presentation] 大型低温重力波望遠鏡KAGRAにおける迷光雑音の対策2019
Author(s)
阿久津智忠, Simon Zeidler, 正田亜八香, 平田直篤, 佐藤直久, 麻生洋一, 高橋竜太郎, 谷岡諭, 長野晃士, 榎本雄太郎, 苔山圭以子, 田中健太, 宮川治, 上泉眞裕, 中野雅之, et al.
Organizer
日本天文学会 2019年秋季年会
-
[Presentation] 大型低温重力波望遠鏡KAGRAにおける防振装置のための制御系の開発 Ⅱ2019
Author(s)
藤井善範, 高橋竜太郎, 正田亜八香, 阿久津智忠, M. Barton, 麻生洋一, R. Flaminio, L. Trozzo, 牛場崇文, 山本尚弘, 宮川治, F. P. E. Arellano, 和泉究, 都丸隆行, et al.
Organizer
日本天文学会 2019年秋季年会
-
-
-
-
-
-
-
-
-