2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a Low-energy Flat Plane-emission Panel Device Employing Single-walled Carbon Nanotubes
Project/Area Number |
26220104
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田路 和幸 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (10175474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下位 法弘 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (40624002)
佐藤 義倫 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30374995)
高橋 英志 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (90312652)
横山 俊 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (30706809)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | 高結晶性単層カーボンナノチューブ / 電界電子放出 / 平面発光パネル / 湿式プロセス / 真空 |
Outline of Annual Research Achievements |
電界電子放出(FE)素子を応用した省エネルギー型平面発光デバイスを基礎構築するべく、1.高結晶性SWCNTを含む湿式加工薄膜のFE寿命の改良・2.線順次駆動型FE電子源の基礎構造構築・3.酸化ケイ素膜被覆による蛍光体発光寿命の改善基礎効果確認について集中的に実施する。 1.高結晶性SWCNTを含む湿式加工薄膜のFE寿命の改良:SWCNTの高結晶化と均一分散制御性はトレードオフの関係にあり、如何にSWCNTの高結晶性を保持したままFE電子源薄膜を構築するか、その手法がFE寿命特性改良の鍵になる。そこでホモジナイザー、ジェットミルで均一分散したSWCNTで塗膜を作製し、低電圧で電子放出を可能にするFE活性化処理後に高温真空アニール処理を施すことで半減期を600時間以上まで改善することに成功した。 2.線順次駆動型FE電子源の基礎構造構築:SWCNTを応用したFE電子源を用い、線順次走査で駆動する平面型発光パネルの基本構造構築を試みた。電子放出オンオフ制御電極(ゲート)/SWCNTを含む電子源層(カソード)/電子照射で蛍光体層(アノード)の3つの電極から構成され、カソードの直下にゲート電極を敷設する構造の作製および発光評価に成功した。平面型発光パネルとして全ての構造を湿式プロセスで構築した、SWCNTを用いたFE電子源として世界初の成果である。 3.酸化ケイ素膜被覆による蛍光体発光寿命の改善基礎効果確認:可視光を発する硫化亜鉛蛍光体の表面に酸化ケイ素薄膜を湿式プロセスで被覆し、電子線照射による蛍光体組成の瓦解・劣化を防止し発光寿命の改善を試みた。数ミクロン径の蛍光体に50~100nm程度の酸化ケイ素を蛍光体表面に被覆し、約70%以上の被覆率で発光寿命を約1.8倍長寿命化に成功した。 以上より、高結晶性SWCNTを用い簡便なプロセスで電極構造を構築し得る平面発光デバイスの開発を推進する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はFE長寿命化に有効である高結晶性SWCNTを電界電子放出電子源として利用し、線順次駆動型電極パターンの基礎構造構築技術を湿式プロセスにより確立した。LEDと比較してシンプルな構造およびプロセスを持ち、試作型平面発光パネルでありながら既にLEDと同等程度の輝度特性を得られたことは、本研究で用いた高結晶化単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の持つ優れた電気特性を活かす技術を構築しつつあると考えられる。「デバイス構築のためのエネルギー消費」と「発光消費電力」の両方の観点からより一層のエネルギー削減を目指すべく、電子放出源(カソード電極)として炭化層中にSWCNTを担持した電極の構造最適化を推進した。具体的方策として、PAN:PVP = 7:1(重量比)で混合して熱処理した炭化物層の間に、金属性SWCNTs、半導体性SWCNTsをそれぞれサンドイッチさせた電界放出素子をグラファイト基板上に作製し、窒素雰囲気下で1000 ℃で焼結して、オールカーボン電界放出素子を作製した。電界放出評価から、半導体性SWCNT含有オールカーボン電界放出素子は閾値電界が低く、金属性SWCNT含有のものより優れた電界放出特性を示すことがわかった。これは炭化膜が多孔質であるために電気抵抗率が大きいため、ジュール熱が生じ、その熱で半導体性SWCNTの電子が価電子帯から伝導帯に励起するために、低電界で電子が放出していると考えられる。 本研究の目的である省エネルギー型平面発光デバイスの創製において、デバイスを構築するための基礎技術を確立する研究計画に進捗が見受けられた。よっておおむね順調に研究は進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は高結晶化SWCNTを電子放出源に用いた線順次駆動型電極パターンの基礎構造構築技術を確立しており、今後は「デバイス構築のためのエネルギー消費」と「発光消費電力」の両方の観点に着目した超省エネ型発光デバイスを創製すべく、以下の項目をキーワードに研究を推進していく。 1.高結晶性SWCNTを用いた電子源の安定的構築のためのプロセス確立:デバイス構築からパネル発光に至る総消費エネルギーの削減を目指すために、高結晶性SWCNTの孤立分散を確保しつつ簡便な形成プロセスで電子源電極を構築するプロセスを確立する必要がある。我々は、当該分散SWCNTの結晶性と均一分散を定量的に把握する、実用化を念頭に置いた液相評価技術確立を目指し、かつ緻密な炭化膜中での金属性SWCNTs、半導体性SWCNTsを含有したオールカーボン電界放出素子の作製および電界放出特性評価より、電極構築が簡便かつ安定した電子放出源の電極構造を確立しつつロバスト性に対応したデバイスプロセスを構築する予定である。 2.オール湿式プロセス電極形成技術の確立:デバイス構築プロセスにおける二酸化炭素排出を削減するために電極パターンを構築する全てのプロセスの湿式化を目指す。さらに高結晶化SWCNTのFE電子放出の安定性を活かしつつ、より単純な構造で高輝度効率(低消費電力)を得る電極パターンを追求する。 3.FE電子源内包型真空パネルの確立およびパネルの信頼性評価:実用化を念頭に置いたスタンドアローン型発光パネルを構築するために、ロバスト性を考慮したパネル設計を構築する。さらにゲッター材を積極的に活用し、安定した高真空を保持しつつ発光特性の信頼性を確保するために排気処理の最適化を推進する。
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Research Products
(22 results)