2017 Fiscal Year Annual Research Report
Risk and Well-Being Under Changing Global Society:
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26220502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤田 康幸 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (40322078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 久紀 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (40450548)
山田 浩之 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (40621751)
田中 淳 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (70227122)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | 経済発展論 / 人口オーナス / 人口ボーナス / 高齢化 / 災害 / 貧困問題 / ミクロ計量経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一の研究である「高齢化リスク研究」については、世界標準の中高年対象パネル調査である「くらしと健康の調査(JSTAR)」のデータ分析を継続し、日本・中国・韓国における経済、健康、就業、家族、社会参加といった生活諸側面の国際比較研究の成果の投稿準備を行った。 第二の研究においては、日本とフィリピンにおける被災者を対象としたフィールド実験データを解析する研究を行い、得られた成果を元にアジア開発銀行・アジア開発銀行研究所と共同で行動経済学・実験経済学の国際カンファレンスを開催した(【科研費を使用して開催した国際研究集会】欄、参照)。 第三の研究では、フィリピン・リサール州の貧困者再定住地におけるライフスキル構築のためのフィールド介入実験研究を継続、ラグナ州における長期貧困ダイナミクスの研究を実施した。インドにおけるITベンチャー企業・伝統零細における企業家精神・リーダーシップに関するフィールド実験の継続実施し、データ解析と論文執筆を行った。韓国における孤児院とボランティア活動における向社会的行動の研究については、ウィスコンシン大学等において研究の仕上げを行い、成果を公表した。バングラデシュにおける認知能力・非認知能力改善のためのフィールド実験介入については完成した論文を元に、International Economic Association世界大会、13th Australian Development Economic Association、Econometric Society北米大会・欧州大会、Advances with Field Experiments Conference(於、米シカゴ大学)など世界的な研究集会において研究成果の報告を行った(【学会発表】欄、参照)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の研究である「高齢化リスク研究」については、「くらしと健康の調査(JSTAR)」の研究の一環として実施され、成果の一部は日本を代表する英文経済学雑誌Japanese Economic Reviewの特集号として出版された(【雑誌論文】の第1項目参照)。第二の研究については、マイクロデータに基づいた自然災害の影響を幅広く研究してきた成果の一部が開発研究のトップフィールドジャーナルWorld Development誌に“Natural Disaster, Poverty, and Development,”特集号として掲載された(【雑誌論文】の第2,3,4,5項目参照)。このように被災者を対象としたフィールド実験データを解析する研究は当初の計画以上に進展していたが、フィリピン・ラグナ州に関する共同研究者、東京大学公共政策大学院の不破信彦教授の急逝により3月に予定していた現地調査に支障をきたし、少し遅れが生じている。第三の研究については、バングラデシュで行ってきたフィールド調査・フィールド実験研究の一部が英文書籍としてPalgrave Macmillan社から出版された(【図書】項目参照)。また、プロジェクトの研究成果を研究論文として取りまとめ、投稿する活動も行い、主な成果として、カンボジアにおける人的災害と貧困問題に関するミクロ実証分析論文がAsia-Pacific Journal of Regional Scienceに受理され(【雑誌論文】第9項目 参照)、タイにおける洪水被害が地価に与えた影響に関する論文がEconomics Bulletin誌に掲載された(【雑誌論文】第10項目参照)。福島県双葉町の被災者を対象として行ってきた調査を取りまとめた論文も東京大学政策評価研究センターのディスカッションペーパー(CREPEDP-32)として、来年度4月に出版予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は最終年度であるため、いずれの研究についてもフィールド調査・フィールド実験データ等の解析を推進し、論文執筆・研究報告・学術雑誌への投稿と掲載にかかわる作業を中心に研究を推進する。第一の研究である「高齢化リスク研究」については、JSTARから得られるパネルデータの先端的なマイクロ計量経済学に基づいた解析結果を韓国(KLoSA)・中国(CHARLS)のみならずインド(LASI)やインドネシア(IFLS)など他国のパネルデータ分析との国際比較を視野に置いた解析を行う。また、マレーシアにおいて実施が予定されている高齢者パネル調査MARSに対して、本研究でえられた日本の高齢化に関する知見を共有し、社会的なインパクトを目指す。 第二の研究では、岩沼市、福島県双葉町、大船渡市、ネパール・カトマンズにおける復興研究を仕上げ、学際的・有機的な連携を通じて得られた知見を学術的なレベルで公表するとともに、各行政と共有することで実際の復興政策に生かす。また、フィリピン・ラグナ州・オルモック市における研究についても遅れを取り戻し、復興研究を仕上げ、学術レベルでの公表を行っていく。 第三の研究では、バングラデシュやフィリピン、インド、中国等の発展途上国、韓国・日本など中進国・先進国におけるリスクと貧困に関するフィールド調査・フィールド実験データの解析・論文執筆を完成し、人口ボーナス・人口オーナスの渦中にある若年層が直面するリスクと暮らしの関係についての新たなエビデンスを蓄積すべく個々の研究プロジェクトの成果を学術的な場で公表する。さらに学術的な成果にとどまらない、開発政策へのインパクトも発現出来るよう幅広く知見の共有を実施し、研究を推進する。
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Research Products
(19 results)