2016 Fiscal Year Annual Research Report
Advanced Analysis on Evolving Patterns in Nonlinear Phenomena Driven by Singular Structure
| Project/Area Number |
26220702
|
|---|
| Research Institution | The University of Tokyo |
|---|
Principal Investigator |
儀我 美一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (70144110)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 仁司 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70102887)
利根川 吉廣 東京工業大学, 理学院, 教授 (80296748)
山本 昌宏 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (50182647)
神保 秀一 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80201565)
久保 英夫 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50283346)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
|
| Keywords | 非局所的拡散 / ストークス方程式 / ファセット / 結晶成長 / 特異拡散方程式 / 渦 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
特異構造を許す解概念の定式化：異方性の強い特異2階曲率流方程式や平均曲率流方程式などについて、新しい解の概念を導入し、解析を行った。
(i) クリスタライン平均曲率流方程式に対する等高面法：特異2階曲率流方程式の典型例として、その平衡型のウルフ図形が多面体であるものを、クリスタライン平均曲率流方程式という。この問題について、カドやファセットのある結晶がぶつかりあったり、ちぎれたりするような特異構造を許す解概念として等高面法による弱解（広義解）が有力と考えられる。弱解の一意存在問題は、平面内の曲線の場合の研究代表者らの結果（2001）以来、曲面の運動については15年近く未解決の難題であった。研究代表者らはこの難問を、粘性解の概念を適切に拡張することにより広いクラスの方程式に対して解決した。極大単調作用素論を中心とした関数解析と粘性解析との美しい調和による成果であった。他研究者の関心も高く、同時期にフランスの研究者が全く別の方法で解決したが、対象とする方程式の範囲は狭かった。
(ii) 平均曲率流方程式のバリフォールド解：平均曲率流方程式の弱解については、等高面法による弱解がよく知られていて、流れ場等の中でも扱える。しかし、変分学的に定義された弱解（バリフォールド解）の存在は不明であった。研究分担者の利根川は漸近解析と変分解析をうまく調和させることにより解決した。さらに、2相を分離する界面方程式ばかりでなく、多相を分離する場合の弱解の構成についても成功している。これらの結果がさまざまな分野で関心を集めている。今後の研究の基盤となる成果である。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の主な具体的目標は、結晶成長現象のような非平衡現象を記述するさまざまな非線形非局所拡散型偏微分方程式について、特異点等を許す解概念を確立し、解の存在、一意性および解の挙動を解析することであった。クリスタライン平均曲率流方程式については、15年間未解決であった難問を関数解析的手法を粘性解析に取り入れることで解決するなど、当初の目標は十分達成している。一方、流体力学の方程式を渦解析の過程で、ストークス半群に対して従来の定説を覆す結果を導くなど、当初の研究計画では考えていなかった成果があがるなど、線形理論への貢献もできた。全体として当初の予想以上の成果が見込まれている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
研究目的の①非線形非局所的拡散に特徴的な構造の解析、②特異構造を許す解概念の定式化、③形態の安定性と漸近挙動の解析、④モデル相互の関係の解析と近似法の確立、⑤科学技術諸分野への応用と新たな問題提起、であるが、研究期間内に①、②、③、④まで満足できる成果をあげられると思われる。その意味で、研究目的は期間内に十分達成できる。⑤については、既にいくつかの問題については十分に具体的成果をあげられた。問題探索が主であるため、ここで得られた知見をもとに諸科学研究者を交えた具体的な学際的研究計画が、この研究期間終了後に立てられるようになると考えられる。
|
Research Products
(62 results)
