2015 Fiscal Year Annual Research Report
Pathogenicな免疫記憶の形成と維持機構の解明
Project/Area Number |
26221305
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 俊憲 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50237468)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 感染症 / 免疫学 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Pathogenicityを担う機能分子を同定:アレルギー性気道炎症を起こす“Pathogenic記憶Th2細胞”のPathogenecityを担う新規機能候補分子を網羅的遺伝子発現解析の結果から複数同定した。それらのなかでも、Epidermal growth factorファミリーのAmphiregulinに特に注目し解析を行っている。現在、遺伝子改変マウスを入手し、詳細な解析を進めている。 2.ポリコーム及びトライソラックス分子群による記憶Th細胞の機能変換・機能維持に関する解析:ES細胞、B細胞、ナイーブT細胞、エフェクターT細胞を用いたChIP-Seq法による解析によってT細胞の機能発現に重要な遺伝子群を同定した。さらに、T細胞におけるEzh2およびトライソラックス分子Meninのゲノムワイドな働きについて解析をすすめ、T細胞特異的な遺伝子発現制御機構を明らかにした(Onodera et al, Mol Cell Biol. 2015)(Onodera et al, Trends Mol. Med. 2015)。 3.記憶Th細胞の形成と維持を担う環境因子(場)の解明:多重染色法と共焦点レーザー顕微鏡を用いてiBALT形成における作動メカニズムの観点から記憶Th細胞微小環境の組織学的解析を行い、記憶型Tpath2細胞の炎症局所における維持に、iBALT構造が必須であることを明らかにした(Shinoda et al. PNAS 2016 in press)。 〔連携研究者〕 千葉大学大学院医学研究院:小野寺 淳 Pathogenicityを担う機能分子を同定、遠藤 裕介 IL-33/ST2による記憶Th2細胞のPathogenicity誘導に関する解析、平原 潔 記憶Th細胞の形成と維持を担う環境因子(場)の解明
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究では、免疫学領域で残されている一大テーマである免疫記憶(immunological memory)の形成と維持の分子機構に関するプリンシプルを明らかにする目的で研究を遂行している。特に「生体にとって有害な免疫記憶T細胞が分化し長期間維持される分子機構」をクロマチンレベルおよび生体レベルで解明するために、①アレルギー性気道炎症を起こす“Pathogenic記憶Th2細胞”をモデル細胞にして、その形成・機能転換の分子機構およびPathogenicityを担う新規機能分子の同定、②ポリコーム及びトライソラックス分子群による記憶T細胞の機能変換・維持機構、③記憶Th細胞微小環境の解析を分子・細胞・個体レベルで進めている。現在までに、(1)記憶Th2細胞の機能分子として全く報告のないEpidermal Growth FactorファミリーのAmphiregulinを新規候補分子を同定した。アレルギー性気道炎症におけるこれらの候補分子のPathogenicな機能について、遺伝子改変マウスを用いた解析を進めている。(2) T細胞におけるEzh2およびトライソラックス分子Meninのゲノムワイドな働きについて解析をすすめ、T細胞特異的な遺伝子発現制御機構を明らかにし、報告した(Onodera et al, Mol Cell Biol. 2015)(Onodera et al, Trends Mol. Med. 2015)。(3) 多重染色法と共焦点レーザー顕微鏡を用いてiBALT形成における作動メカニズムの観点から記憶Th細胞微小環境の組織学的解析を行い、記憶型Tpath2細胞の炎症局所における維持に、iBALT構造が必須であることを明らかにし、報告した(Shinoda et al. PNAS 2016 in press)。以上、着実な研究進展および研究成果の発表が認められており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.アレルギー性気道炎症を起こす“Pathogenic記憶Th2細胞”の機能維持機構の研究:(i)Pathogenicityを担う機能分子を同定:メモリーTh1/Th2/Th17細胞を用いて、ヒストン修飾やDNAのメチル化を指標に網羅的エピジェネティック解析を行い、“Pathogenic記憶Th2細胞”におけるPathogenicityを担う機能分子を同定し、その分子の発現誘導機構を明らかにする。特にEGFファミリーのAmphiregulin、および細胞内脂質代謝の酵素分子ACC1に注目した解析を行う。(ii)IL-33/ST2による記憶Th2細胞のPathogenicity誘導に関する解析:IL-33による記憶Th2細胞の活性化、増殖、生存維持などを解析する。また、IL-33/ST2の下流のシグナル伝達分子を同定する。好酸球性副鼻腔炎のポリープ中の Pathogenic Th2細胞を用いて研究を行う。 2.ポリコーム及びトライソラックス分子群による記憶Th細胞の機能変換・維持機構に関する解析:記憶Th2細胞を用いて、全ての遺伝子におけるポリコームとトライソラックスの結合交換反応をバイアスのかからない高速シークエンサーによるシークエンス法とクロマチン免疫沈降法(ChIP)を組み合わせたChIP-Seq法によって解析する。 3.記憶Th細胞の形成と維持を担う環境因子(場)の解明:OVA特異的エフェクターTh細胞をマウスに移入しOVAを気道から投与することで、肺組織の微小環境変化により、誘導性気管支関連リンパ組織(induced bronchus-associated lymphoid tissue: iBALT)を誘導する系を用いて解析を行い、以下の3点に関する研究を推進し論文発表を行う。(i) 記憶Th細胞のiBALT中での維持機構、(ii) iBALTの形成機構、(iii) IL-7産生細胞の同定および機能分子の探索
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[Journal Article] Thy1+IL-7+ lymphatic endothelial cells in iBALT provide a survival niche for memory T-helper cells in allergic airway inflammation.2016
Author(s)
Shinoda, K., Hirahara, K., Iinuma, T., Ichikawa, T., Suzuki, A., Sugaya, K., Tumes, D. J., Yamamoto, H., Hara, T., Tani-ichi, S., Ikuta, K., Okamoto, Y., Nakayama, T.
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Spatial interplay between Polycomb and Trithorax complexes controls transcriptional activity in T lymphocytes.2015
Author(s)
Onodera, A., Tumes, D. J., Watanabe, Y., Hirahara, K., Kaneda, A., Sugiyama, F., Suzuki, Y., Nakayama, T.
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Journal Title
Mol. Cell. Biol.
Volume: 35
Pages: 3841-3853
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Fine scale positioning of Polycomb and Trithorax complexes controls transcriptional activity in T lymphocytes.2015
Author(s)
Onodera, A., Kiuchi, M., Wada, T., Kanno, T., Hayashizaki, K.,Nakayama, T.
Organizer
第44回日本免疫学会総会・学術集会
Place of Presentation
札幌コンベンションセンター(北海道、札幌市))
Year and Date
2015-11-19
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