2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of pathogenic immune memory formation and maintenance
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26221305
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 俊憲 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50237468)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 気道リモデリング / 線維化 / 好酸球 / 呼吸機能低下 / EGF受容体阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
IL-33によって発現誘導される新規機能分子であるAmphiregulinに着目し、生体内におけるAmphiregulinによる病原性誘導機構の解析を行った。その結果、Amphiregulinを特異的に産生し、気道の線維化に深く関与する記憶型Th2細胞を同定し「線維化誘導-病原性記憶CD4 T細胞」と命名した(Morimoto et al. Immunity 2018 in press)。同細胞から産生されるAmphiregulinは、好酸球に発現するEpidermal Growth Factor (EGF)受容体を介して、好酸球を活性化し、炎症性好酸球へリプログラムする。この結果、好酸球は、細胞外マトリックスの構成成分として重要なOsteopontinを産生し、気道周囲の線維化を誘導する。これら、IL-33, Amphiregulin, Osteopontinのどの分子も好酸球性気道炎症における気道周囲の線維化に必須であることを各種遺伝子改変マウスを用いて解析することにより明らかにした。さらに興味深いことに“IL-33-Amphiregulin-EGFR-Osteopontin axis”によって引き起こされる気道周囲の線維化は、EGF受容体阻害薬で抑制されることを明らかにした。以上の結果から、“IL-33-Amphiregulin-EGFR-Osteopontin axis”が、好酸球性気道炎症における組織線維化に深く関わっていることが明らかになった。さらに、同様のAmphiregulin産生記憶型CD4 T細胞およびOteopontin産生好酸球が、好酸球性副鼻腔炎患者由来のポリープ中にも多数認められることを明らかにした。また、ヒト好酸球においても、Amphiregulin刺激でOsteopontinの産生が誘導される一方、EGF受容体阻害薬によってその産生が抑制されることを見出した。以上のことからヒトの慢性好酸球性炎症疾患における組織線維化の病態形成においても“IL-33-Amphiregulin-EGFR-Osteopontin axis”が深く寄与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究では、免疫学領域で残されている一大テーマである免疫記憶(immunological memory)の形成と維持の分子機構に関するプリンシプルを明らかにする目的で研究を遂行している。今年度は、IL-33によって病原性記憶型Th2細胞で発現誘導される新規機能分子であるAmphiregulinを同定し、同タンパク質の生体内における病原性誘導機構の解析を行った。組織線維化を伴った好酸球性気道炎症において、(1)IL-33存在下でAmphiregulinを特異的に産生する記憶型Th2細胞が出現すること、(2)同細胞から産生されるAmphiregulinは、好酸球に発現するEpidermal Growth Factor (EGF)受容体を介して、好酸球を活性化すること、(3)Amphiregulin刺激を受けた好酸球は、細胞外マトリックスの構成成分として重要なOsteopontinを産生し、気道周囲の線維化を誘導することを明らかにした。さらに、(4)ヒト慢性好酸球性炎症疾患である好酸球性副鼻腔炎患者由来のポリープ中にAmphiregulin産生記憶型CD4 T細胞およびOteopontin産生好酸球が、多数認められ組織線維化の病態形成に寄与することを明らかにした。さらに興味深いことに上記の線維化誘導カスケードによって引き起こされる気道周囲の線維化は、EGF受容体阻害薬で抑制されることを明らかにした。今回新たに明らかにした線維化誘導カスケードは、気道周囲の線維化のみならず好酸球で誘導される様々な慢性炎症性疾患の線維化に深く関与している可能性が高く、慢性炎症疾患の有効な治療ターゲットになることが期待される (Morimoto et al. Immunity 2018 in press)。 以上、着実な研究進展および研究成果の発表が認められており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. IL-33/ST2による記憶Th2細胞のPathogenicity誘導に関する解析: IL-33による記憶Th2細胞の活性化、増殖、生存維持などを解析する。マウス肺に局在するIL-33受容体陽性記憶型Th2細胞がステロイド抵抗性を示すことを平成29年度に報告した(Mato et al. Sci Rep. 2017)が、その詳細な分子機構について解析を進める。また、Amphiregulinを産生する線維化誘導-病原性記憶T細胞について、その細胞の特徴を各種遺伝子改変マウスを用いて解析する。 2. ポリコーム及びトライソラックス分子群による記憶Th細胞の機能変換・維持機構に関する解析: 平成30年度以降は、ヒストンのリジン4トリメチル化(H3K4me3)活性を有するトライソラックス複合体の中でもCOMPASS複合体の一員であるCxxc1タンパク質に着目し解析を進める。具体的には、慢性好酸球性炎症肺におけるAmphiregulinの標的細胞に焦点をあて、標的細胞におけるAmphiregulinの作用機序について解析を進める。 3. 記憶Th細胞の形成と維持を担う環境因子(場)の解明: 現在、OVA以外の自然暴露しうる各種抗原刺激(カビ抗原、ハウスダスト抗原等)による異所性リンパ組織(inducible bronchus-associated lymphoid tissue (iBALT))の形成および誘導される記憶Th細胞の病態形成への関与について解析を進めている。具体的には、(1) 慢性気道炎症で誘導される組織常在性記憶T(Tissue Resident memory T; TRM)細胞の同定、およびその特性の解析、(2) iBALT形成とTRM細胞の誘導・維持との連関解析、について主にin vivo実験を計画している。
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Research Products
(33 results)
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[Journal Article] Establishment of a library having 204 effective clones of recombinant single chain fragment of variable region (hScFv) of IgG for vasculitis treatment2017
Author(s)
Kameoka, Y., Koura, M., Matsuda, J., Suzuki, O., Ohno, N., Sugamata, R., Nakayama, T., Suzuki, K.
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Journal Title
ADC Letters for Infectious Disease Control
Volume: 4
Pages: 44~47
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Memory-type ST2+CD4+ T cells participate in the steroid-resistant pathology of eosinophilic pneumonia2017
Author(s)
Hirahara, K., Mato, N., Ichikawa, T., Kumagai, J., Nakayama, M., Yamasawa, H., Bando, M., Hagiwara, K., Sugiyama, Y., Nakayama, T.
Organizer
The 5th Annual Meeting of the International Cytokine and Interferon Society
Int'l Joint Research
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