2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規レーザー技術を駆使した神経・分泌機能のin vivo超解像イメージングの開発
Project/Area Number |
26242082
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
根本 知己 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (50291084)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 俊一 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30162431)
川上 良介 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (40508818)
大友 康平 北海道大学, 電子科学研究所, 特任助教 (40547204)
日比 輝正 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (50554292)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 超解像顕微鏡 / 光渦 / ベクトルビーム / in vivoイメージング / 2光子顕微鏡 / 光ファイバー増幅器 / 多光子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
黄色CWレーザー光を液晶デバイスを用いてベクトルビーム化することにより、トポロジカルチャージの異なる(軌道角運動量m = -2, -1, +1, +2)ドーナッツ状のビーム(光渦)を発生することに成功した。そのベクトルビームの性状を解析し、さらにSTED用の光源として利用することで、既存の2光子励起顕微鏡システムを超解像顕微鏡(2光子励起STED顕微鏡)と発展させ、焦点面内の空間分解能をおよそ2倍向上させることに成功した。一方、2光子励起用レーザー光源の点では、旧来のチタンサファイアレーザーのパスル幅の圧縮による蛍光シグナルの増強に成功すると共に、高出力の新規超短波パルス光源を導入し、マルチビームスキャン式の2光子励起顕微鏡の視野を拡大することに成功した。さらに高い時間分解能を生かしてマウス皮下血管内の血流の高速イン・ビボ(in vivo)イメージングに応用した。加えて白色レーザー光源を用いた3次元ライブイメージングへの応用を検討し、励起光アンミキシングの多色イメージングにおける有用性を確認した。またベクトルビームの持つ「自己治癒効果」についても検証を行った。またうつ病モデルマウスの確立に着手した。 また、連続波光を用いて光ファイバー増幅器による光出力の増大を試み、20Wを超える出力が得られ、パルス光増幅における光ファイバー増幅器の有効性を確認した。また、ベクトルビームによる超解像特性に関して、その点像分布関数およびそのフーリエ変換である光学伝達関数を数値計算によって求め、従来の顕微鏡法と比較検討した。その結果、高い空間周波数成分の著しい増強効果が認められ、ベクトルビームの優位性を明らかにした。 これらの研究成果は原著論文や学術集会等で発表し、第23回日本バイオイメージング学会学術集会においてベストイメージング賞晝馬賞及び、ベストイメージング賞OLYMPUS賞を受賞した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ベクトルビームの特性の詳細な解析から、ベクトルビームを実際に生物顕微鏡に適用し日本オリジナルの超解像顕微鏡法の開発に成功した。さらに新規レーザー光源を用いることで、当初予想していなかったマルチビーム式2光子顕微鏡による高速イン・ビボ(in vivo)イメージングや白色レーザー光源の有用性が明らかになった。 また、ベクトルビームによる超解像特性を明らかにしたことにより、in vivoイメージングへ適用することの有用性を明確にすることができた。また、光ファイバー増幅器による高出力化によって、より深部を観察するための基盤技術を整備することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの成果を発展させ、今後の研究は、新規レーザー、非線形光学、蛍光タンパク質などの技術を融合すると共に、開口放出・分泌、神経活動・Ca2+動態を機能可視化するモデル系の確立を図る。生体脳での機能創発原理や精神疾患発症の基礎を解明するための方途を拓くことを目的とする。 [研究項目1] 海馬全層を可視化する新規in vivo光イメージング法の確立 海馬でのイン・ビボ(in vivo)イメージのみならず、ベクトルビームを用いた超解像法との融合から、海馬神経細胞の樹状突起スパインの個々の形態を解像する空間分解能を実現することを目指す。平行して、多光子顕微鏡で長期in vivo観察を行いつつ、覚醒状態で保定するための方法論を確立する。これらを用いて、生きた同一個体の中で海馬ニューロンの活動状態の変化が、うつ病モデルでの長期的にどのように変化するかを検討していく。生体内での空間分解能の向上のため、ベクトルビームの持つ「自己治癒効果」の有効性の検討も継続する。東北大において生体内のレーザービームの伝搬をモデル計算と実験を実施し、北大グループにおいては新規透徹剤に関する実験やマウス生体脳深部での観察結果を東北大チームにフィードし統合的に検討する。 [研究項目2] in vivo光イメージング法の超解像化と開口放出の分子基盤 SNARE分子と複合体形成、融合細孔の形成との間の機序を明らかにするための系の構築を推進する。マルチビーム式2光子顕微鏡による高速イン・ビボ(in vivo)イメージングによる分子動態の可視化解析や白色レーザー光源による多色イメージング・励起アンミキシングについても検討を継続する。これらの得られた成果をとりまとめ、学術集会等で発表する。
|
Research Products
(52 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Transmissive liquid crystal devices correcting the spherical aberrations in laser scanning microscopy2015
Author(s)
Ayano Tanabe, Terumasa Hibi, Kenji Matsumoto, Masafumi Yokoyama, Makoto Kurihara, Sari Ipponjima, Nobuyuki Hashimoto, Tomomi Nemoto,
Organizer
BiOS, SPIE
Place of Presentation
The Moscone Center (San Francisco, USA)
Year and Date
2015-02-07 – 2015-02-07
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 膵外分泌・内分泌における膜融合関連分子SNAP23の機能の解明2014
Author(s)
國井政孝, 吉村信一郎, 高橋倫子, 小林 雅樹, 佐藤隆史, 川上良介, 根本知己, 河西晴郎, 北村忠弘, 佐藤 健,原田彰宏
Organizer
第66回日本細胞生物学会大会
Place of Presentation
奈良県新公会堂東大寺総合文化センター(奈良県・奈良市)
Year and Date
2014-06-13 – 2014-06-13
-
-
-
-
-
-
-
-
-