2014 Fiscal Year Annual Research Report
皮質下の公平性認知システムの情報解読とその制御メカニズム
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26242087
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
春野 雅彦 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (40395124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ニ本杉 剛 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 准教授 (10616791)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳情報 / 扁桃体 / デコーディング / 社会行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度のfMRI実験の結果より、大脳皮質の高次認知機能の中枢である前頭前野の活動が“罪悪感”を表現し、皮質下の原始的な領域である扁桃体の活動は“不平等”を表現することを証明しました。また、前頭前野の経頭蓋直流電流刺激により罪悪感だけを操作することが可能であることも同時に示し、これらの表現が、ある程度独立していることもわかりました。 この結果は、進化的に異なる新旧の脳領域がヒトの協力行動において異なる機能を担うことを意味しています。“罪悪感”は、他者や社会の期待と、自分の仮定の行動で生じる結果との差であり、相手の意図に基づく将来に対する動的なシミュレーション能力です。その表現が高次認知機能の中枢である前頭前野に存在する一方、他者との相対的な結果を示す“不平等”に対する表現は、原始的な脳である皮質下の扁桃体と側坐核に見られるという今回の知見は精神疾患をはじめとするヒトの社会行動に関わる多くの分野に影響を与え得ると考えられます。さらに次年度への予備実験として扁桃体、側坐核の活動から行動のデコーディングを行っており、良好な印象を得ています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトの社会行動の根底をなす罪悪感と不平等感という問題について、計算モデルと経頭蓋直流電流刺激、デコーディングといった手法を用いることで、情報の解読と操作という観点から良好な研究結果を得ていることから、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えます。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実験課題の更なる改善、計算モデルの精緻化と併せて、デコーディング性能の向上、デコーディングを用いた経頭蓋脳刺激法の研究開発を進める予定です。
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