2016 Fiscal Year Annual Research Report
皮質下の公平性認知システムの情報解読とその制御メカニズム
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26242087
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
春野 雅彦 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (40395124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二本杉 剛 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (10616791)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳情報 / 扁桃体 / デコーディング / 社会行動 / 7TMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、皮質下の領域の脳活動(主に7テスラ、3テスラ装置のfMRI信号)から社会行動に関する情報を解読する手法を開発し、計算論的神経科学と行動経済学の分野間協力で開発手法を将来のストレス予測や経済行動予測に応用することを目的としている。 28年度は、扁桃体および内側前頭葉の脳活動パターンから現在と将来のうつ傾向指標の予測、またうつ傾向をデコードする為の基本的なデコーディング手法の開発を試みた。 28年度に行ったfMRI実験と解析の結果、相手の取り分が自分よりどれだけ多いか(social value orientation)に対する扁桃体の活動パターンが現在と一年後のうつ傾向を予測することを示す新たな成果を得た。さらに自分の報酬が多い場合も気にする向社会的な被験者に限って自分と相手の報酬の絶対値に対する脳活動パターンからもうつ傾向の予測が可能であった。このことは経済格差と気分変動の間に見られる個人差に果す扁桃体と海馬の重要性を示唆するものである。これに加えて7TMRIで扁桃体の脳活動パターンから見ている顔表情をデコードする実験を行った。 撮像パラメータを最適化することにより60試行程度のデータからデコードを行うことが可能となった。さらに安静時fMRI、神経線維の太さを計測する拡散強調画像(DTI)、複数の被験者の構造画像を直接定量比較が可能な定量的MRI(qMRI)といった最新の脳構造・活動指標を収集すれば、新たな神経疾患基盤の発見や高精度な精神疾患、パーソナリティ同定・予測手法の開発に繋がる可能性が浮かび上がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
扁桃体の格差に対する脳活動パターンが現在と一年後のうつ傾向を予測することを示す新たな成果を得た。さらに、試行毎のデコードは難しいと考えられた扁桃体の脳活動から7TfMRIを用いることで顔表情のデコードが可能であることを示すデータを得た。この手法を扁桃体で行われる情報処理を明らかにするのみではなく、これまで機能解析が難しかった側坐核、視床下核、視床下部といったヒトの皮質下微細構造の情報処理に大きく貢献することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
扁桃体の格差に対する脳活動パターンが現在と一年後のうつ傾向を予測することを示す新たな成果を論文として世界に発信する。さらに、7TfMRIを用いた扁桃体のデコーディング手法を確立し、論文を出版する。さらにこの手法を側坐核、視床下核、視床下部といったヒトの皮質下微細構造の情報処理に適用し、同時にこれらの領域が気分変動、経済行動で果す役割を総合的に解明してゆく。
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Research Products
(8 results)