2014 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおけるアメリカ認識の相克--日中韓比較による総合的研究
Project/Area Number |
26243004
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Research Institution | Hokkai School of Commerce |
Principal Investigator |
古矢 旬 北海商科大学, 商学部, 教授 (90091488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 文明 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (00126046)
大津留 智恵子 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
小檜山 ルイ 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (70186782)
西崎 文子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60237691)
岡山 裕 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (70272408)
吉見 俊哉 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (40201040)
川島 真 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (90301861)
眞壁 仁 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (30311898)
外村 大 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40277801)
馬 暁華 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30304075)
林 載桓 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (80615237)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歴史認識 / 日米関係 / 中米関係 / 韓米関係 / アジア・太平洋戦争 / 植民地主義 / 講和問題 / 歴史博物館 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現在の東アジアの国際関係を緊張させている一つの要因である「歴史認識問題」――すなわちこの地域の過去一世紀あまりの歴史をどのように評価するかに関わる日・中・韓各国の認識の齟齬や対立――を、この地域に地域外超大国として大きく関わってきたアメリカ合衆国の存在意義と各国のアメリカ認識の比較をとおして、解明することを目的として、スタートした。初年度は、各分担者はまず国際関係・外交史・地政学・各国政治史・文化史などの専門分野において、「歴史研究班」「現状分析班」ごとの個別課題を念頭に、接近視角を模索し、同時に関連史資料の収集に当たった。また数名の分担者は、米・中・韓各国で現地調査を行った。これらの個人研究のうちには、業績一覧のうちに見られるように、すでに具体的な論文や学会報告などの形で成果の発表されているものも少なくない。こうした調査や執筆・研究報告をとおして明らかになりつつある重要な知見として、過去においても現状においても、各国の歴史認識にアメリカ合衆国の存在がきわめて大きな影響を及ぼしてきた点、なおも及ぼしている点が指摘できる。ただし、初年度ということもあり、それら各分担者の個別研究成果をつきあわせたうえで、各班レベルでの論点の総合を目指すことについては、不十分なままに終わったが、この点については次年度の課題としたい。 全体研究としては、本年度は東アジアの歴史認識に対する、アメリカの視点の導入に努めた。その一環として、年度末には、米国アジア研究の第一人者であるケネス・ルオフ(ポートランド州立大学)教授および、韓国の専門家を招聘し、ルオフ氏の報告を受けて、日本と韓国の歴史博物館の展示に見られる両国の近現代史理解の相克について、多角的な討論を行った。これによって、本研究にアメリカ研究者の視点を導入することの重要性があらためて確認された。この点は、次年度以降の継続課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、①研究分担者の個人研究、②歴史-現状分析、アメリカ-アジアの2つの軸によって4つに類別された各班研究、③総合的な全体研究の3層で遂行されている。 そのうち本年度もっとも順調に進捗をみたのは①個人研究であった。研究分担者の大半は、本研究課題に関連する研究においてすでに十分な実績のある一線研究者であり、研究成果一覧に明らかなように、従来研究を継続しつつ、計画調書の目的を的確にかつ速やかに理解した上で新たな研究視角を提起しつつある。 このように個人研究が、各分野で自立した第一線研究者である分担者によって順調に進められている反面、②の班研究はやや立ち後れている。次年度は、各班の研究目的を焦点として、個別研究の相互的な突き合わせと論点の整理を精力的に進める必要がある。 全体研究は、日中韓米それぞれの研究者が、東アジア地域の国際政治の過去と現状にどのような歴史認識に基づいて接近しているかを比較検討し、この点について学術的な共通認識は達成可能か否かを相互検討することに向けられている。初年度の共同研究は、この課題の入口に立ったにすぎない。歴史認識問題に対する4カ国の共同研究者の接近視角は、ナショナリティのレベルではもとより、個人レベルでも、所期の想定以上に多様であり、比較も容易ではないことが明らかになった。初年度末に開かれた国際シンポジウムは、日韓の研究者間の歴史認識の齟齬にアメリカのアジア研究の観点から光を当てることに努め、一定の共通認識に到達しえたが、なお韓中比較にはほとんど手を付けることができなかった。この点が次年度以降の全体研究の主要課題になる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、前年度の研究体制を維持して、3層で同時並行的に研究を推進してゆく。個人研究については、各分担者が前年度までの研究を継続しながら、より積極的な史資料収集にあたり、共同研究の基盤整備に尽力してゆく。小規模の研究体制の変更として、研究分担者の一人(日本近現代思想史の専門家)が研究休暇に入り、班・全体の共同研究への参画が困難になるため、インドから日本にわたる広域アジアの思想交流史の専門家に交替していただく。この交替により、研究体制のうちに、東アジア歴史認識問題に対する新しい視点が持ち込まれることが期待される。 次年度は、班研究の活性化にとくに力を入れたい。とくに、国際政治の地政学的、現実主義的側面に重点を置く現状分析班の分担者と、歴史の影響力の継続性を重視する歴史班の分担者との対話を促進し、共通了解の達成に努める。その前提として各班の小研究会の頻度を挙げることを目指す。 全体研究会は、昨年度ほとんど触れるゆとりのなかった、中韓のアメリカ研究者の歴史認識の移動の解明を企図している。最終的には、初年度と同様、年度末に国際的かつ学際的なシンポジウムを企画している。その際、韓国と合衆国のアメリカ研究者については、初年度の全体研究の中から、有力な研究協力者が見いだされているが、中国アメリカ研究からの研究協力者については、なお探索中である。中国国内に活動拠点を置く研究者とアメリカにそれを置く研究者とでは、歴史認識問題への接近視角が異なることが予見されるので、そのいずれにも偏らない人選が必要に思われる。この点については、研究分担者間で論議を尽くして、人選を進めてゆきたい。
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Research Products
(72 results)
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[Presentation] Karuizawa as Missionary Space2014
Author(s)
KOHIYAMA, Rui
Organizer
International Seminar on Historical Perspectives of Inter-religious Relationships in Asia
Place of Presentation
Holiday Inn Chiangmai (Chiangmai, Thailand)
Year and Date
2014-08-06
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