2016 Fiscal Year Annual Research Report
宗教施設を地域資源とした地域防災のアクションリサーチ
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26244004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲場 圭信 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (30362750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 嘉寛 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30314347)
板井 正斉 皇學館大学, 教育開発センター, 准教授 (40351225)
黒崎 浩行 國學院大學, 神道文化学部, 教授 (70296789)
渥美 公秀 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80260644)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アクション・リサーチ / 宗教施設 / 地域防災 / 災害救援マップ / 自治体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目に実施した全国の自治体と宗教施設の災害時協力や災害協定の書面調査では、協定締結と協力関係を合わせると災害時における自治体と宗教施設の連携は、自治体数で303、宗教施設数で2,401にものぼり、2,103の宗教施設が自治体から避難所指定されていることがわかった。また、東日本大震災後に、自治体と宗教施設の災害協定の締結が増加していることも明らかになった。2年目、開発を進めたタブレット端末・スマホ対応の「災害救援マップ」システムは、30万件にのぼる指定避難所および宗教施設の位置や属性情報をユーザ側へ転送する際に、地図に表示されている範囲とその周辺に限定することで大幅に通信量を軽減させるシステムとなった。 3年目の(H28度)は、継続して、全国の市町村における宗教施設との災害時協力の聞き取り調査を実施し、具体的にどのような宗教施設と自治体の災害時協力・災害協定か、現状と課題を抽出した。 特に、群馬県高崎市、宮崎県日向市・日南市、北海道苫小牧市、東京都渋谷区、熊本県熊本市、熊本県天草市においては、行政と宗教施設の災害時協定・協力関係の実態について訪問して聞き取り調査を実施し、周辺状況も「未来共生災害救援マップ」アプリで確認をした。 上記と並行して、宗教施設と地域の様々な社会的アクターとの関係が構築されている大阪府和泉大津市および三重県伊勢市において、「未来共生災害救援マップ」をツールに、宗教施設と自治体、学校、NPO等による地域防災のワークショップ、防災まち歩きを実施した。実施にあたっては、市の危機管理担当者、自主防災組織会長、NPO、自治会組織、市議会議員等と連携して行った。また、防災のみでは波及効果が薄いので、地域の見守り、観光につげる可能性を模索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の点から、年度計画通りに順調に進展している。
・全国の自治体と宗教施設の災害時協力や災害協定・協力に関しての本格的な聞き取り調査を実施し、具体的にどのような宗教施設と自治体の災害時協力・災害協定か、現状と課題を抽出した。 ・「災害災害救援マップ」をツールとして、宗教施設と自治体、学校、NPO等によるつながり(ソーシャル・キャピタル)の創出に関するアクションリサーチとして防災まちあるき、ワークショップを大阪府泉大津市、三重県伊勢市で実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
・昨年度は、、宗教施設と地域の様々な社会的アクターとの関係が構築されている大阪府和泉大津市および三重県伊勢市において、「未来共生災害救援マップ」をツールに、宗教施設と自治体、学校、NPO等による地域防災のワークショップを実施したが、平成29年度は、さらに、東京、大阪、北九州などの地域で、「未来共生災害救援マップ」をツールに、宗教施設と自治体、学校、NPO等による地域防災のワークショップを実施する。モデル地域で実施したワークショップの結果による課題から「未来共生災害救援マップ」アプリを改良するとともに、宗教施設を地域資源とした地域防災の課題を抽出する。さらに、全国レベルで宗教施設を取り込んだ地域防災を展開する上での方策を検討する。
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