「日韓相互認識」研究の深化・発展のために―東アジア情勢のなかで―

2016 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 26244037
• Research Institution: Hitotsubashi University
• Principal Investigator: 吉田 裕 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (20166979)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 若尾 政希 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (80210855) ; 加藤 圭木 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (40732368) ; 小川 和也 中京大学, 文学部, 教授 (90509035) ; 木村 元 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (60225050) ; 三ツ井 崇 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60425080) ; 山口 公一 追手門学院大学, 国際教養学部, 准教授 (20447585) ; 石居 人也 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (20635776) ; 高柳 友彦 一橋大学, 大学院経済学研究科, 講師 (80588442) ; 辻 弘範 北海学園大学, 経済学部, 教授 (20348494) ; 山内 民博 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40263991) ; 佐藤 宏之 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50599339) ; 小関 悠一郎 千葉大学, 教育学部, 准教授 (20636071) ; 池 享 一橋大学, 名誉教授 (20134885) ; クォン ヨンソク 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (80361848) ; 酒井 裕美 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (80547563) ; 糟谷 憲一 一橋大学, 名誉教授 (80143345) ; 森 武麿 一橋大学, 名誉教授 (20095756) ; 林 雄介 明星大学, 人文学部, 教授 (00286246) ; 鄭 栄桓 明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (90589178) ; 李 成市 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30242374) ; 渡邊 治 一橋大学, 名誉教授 (70013026) ; 加藤 哲郎 一橋大学, 名誉教授 (30115547) ; 田崎 宣義 一橋大学, 名誉教授 (40107157) ; 松園 潤一朗 一橋大学, 大学院法学研究科, 講師 (30588439) ; 木村 直也 立教大学, 文学部, 特任教授 (50192018)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 日本史 / 東洋史 / 朝鮮史 / 交流史 / 学術交流 / 相互認識

Outline of Annual Research Achievements

１．研究項目班それぞれが、計画に応じて史料調査・収集を行った。
２．研究分担者・研究協力者が集う研究会議「日韓相互認識研究会」を２回開催した（第２６回、第２７回）。第２６回研究会は２０１６年７月２４日に開催し、崔誠姫、クォンヨンスク、石居人也が研究報告を行った。第２７回研究会は２０１７年３月２日に開催し、李玲実が「解放直後の在日朝鮮人女性運動：女性活動家の分析」と題して報告を行った。
３．２０１４年度から２０１６年度上半期までの共同研究の総括と、韓国の日本史・朝鮮史研究者（ソウル大学校を中心とする研究者）との研究交流のために、２０１６年８月１８日～２２日の日程で、日本の一橋大学佐野書院等を会場にして、第１９回日韓歴史共同研究シンポジウムを開催した。第３回シンポジウム以来、日韓両国の歴史研究の現状と課題に関して相互に認識を深めるため、日本史、朝鮮史、日朝関係上の重要な論点を取り上げて、率直に議論していくことを課題としている。日本側・韓国側それぞれ３本ずつ報告を準備した。日本側が準備した報告は次の通りである。石居人也「「足尾銅山をめぐるふたつの運動―田中正造というメディア―」、崔誠姫「第二次朝鮮教育令施行期における中等女子修身教育」、クォン・ヨンスク「大衆文化の交流と日韓相互認識」。８月２１日には、北関東をフィールドに共同踏査を行い、ハンセン病資料館・全生園、足利学校、鑁阿寺を訪問した。
４．第１９回シンポジウムの報告及び討論を収載した報告書を作成すべく、テープ起こしを行った（印刷は、第２０回と合冊の予定）。
５．雑誌『日韓相互認識研究』第７号を刊行するとともに、一橋大学機関リポジトリで公開した。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

１．６つの研究項目班において、当初の計画通り、調査・研究を進めており、着実な研究成果が出ている。
２．研究項目班の研究成果を持ち寄って、日韓相互認識研究会を開催した。その成果を日韓歴史共同研究シンポジウムで報告することによって、韓国の研究者と真剣な議論を行うことができた。２０１６年度は、Ａ班（近代教育）、Ｂ班（医療・衛生思想）、Ｄ班（日朝・日韓関係）の研究成果の一端を披露した。
３．１９年間続けてきた日韓歴史共同研究シンポジウムを通して、信頼関係を基盤とする友好関係を築いてきた。厳しくなっている東アジア情勢のなかで、私たちが果たすべく役割はきわめて大きくなっている。

Strategy for Future Research Activity

１．これまで通り、６つの研究項目班で、共同研究の課題に取り組む。
２．研究項目班の研究成果を持ち寄って、日韓相互認識研究会を開催する。
３．韓国側の研究者との交流集会である第２０回日韓歴史共同研究シンポジウムを、韓国の安東で開催する。日韓儒教の比較研究というテーマで、日本側３本、韓国側３本の計６本の報告を立てる予定である。また、安東の儒教関係史跡を共同踏査する予定である。
４．シンポジウム報告書を作成するとともに、雑誌『日韓相互認識研究』第８号を発刊する。
５．以上のような推進方策を立てており、現時点で研究計画を変更する必要はないと考えている。

Research Products

• [Journal Article] 思想史という立ち位置 (2017)
  • Author(s): 若尾政希
  • Journal Title: 東京歴史科学研究会編『歴史を学ぶ人々のために―現在をどう生きるか―』岩波書店（図書所収論文） Volume: ― Pages: 265-283
• [Journal Article] 日本の朝鮮侵略史と朝鮮人の主体性 (2017)
  • Author(s): 加藤圭木
  • Journal Title: 東京歴史科学研究会編『歴史を学ぶ人々のために―現在をどう生きるか―』岩波書店（図書所収論文） Volume: ― Pages: 109-126
• [Journal Article] 戦前農村経済更生から戦後農村再生へ (2017)
  • Author(s): 森武麿
  • Journal Title: 歴史と民俗 Volume: 33 Pages: 255-297
• [Journal Article] Launch of the Schooling Society: the 1930s to 1950s（Chapter 4) (2017)
  • Author(s): Hajime Kimura
  • Journal Title: M.Tsujimoto & Y.Yamazaki（ed.) The history of Education in Japan (1600-2000) (Routledge Studies in Educational History and Development in Asia) Routledge （図書所収論文） Volume: ― Pages: 86-116
• [Journal Article] 近世朝鮮の周縁的集団と史料―戸籍史料・裁判史料からの接近― (2017)
  • Author(s): 山内民博
  • Journal Title: 環東アジア研究 Volume: 10 Pages: 63-76
• [Journal Article] 時評：『韓国史』教科書国定化問題をめぐって (2017)
  • Author(s): 池享
  • Journal Title: 歴史学研究 Volume: 956 Pages: 30-33
• [Journal Article] 日朝関係の近代的変容と境界領域―明治維新期の対馬を中心に (2017)
  • Author(s): 木村直也
  • Journal Title: 史苑 Volume: 77-2 Pages: 127-140
• [Journal Article] 近世の日朝関係とその変容 (2017)
  • Author(s): 木村直也
  • Journal Title: 関周一編『日朝関係史』吉川弘文館（図書収載論文） Volume: ― Pages: 177-239
• [Journal Article] 書評 橋本伸也著『記憶の政治 ―ヨーロッパの歴史認識紛争』（岩波書店、2016年） (2017)
  • Author(s): 鄭栄桓
  • Journal Title: 東欧史研究 Volume: 39 Pages: 87-92
• [Journal Article] The Tokyo Trial and the Question of Colonial Responsibility: Zainichi Korean Reactions to Allied Justice in Occupied Japan (2017)
  • Author(s): 鄭栄桓
  • Journal Title: International Journal of Korean History, Center for Korean History, Korea University Volume: 22(1) Pages: 77-105
• [Journal Article] 在日朝鮮人の「国籍」と朝鮮戦争（1947-1952年）：「朝鮮籍」はいかにして生まれたか (2017)
  • Author(s): 鄭栄桓
  • Journal Title: PRIME（明治学院大学国際平和研究所） Volume: 40 Pages: 36-62
• [Journal Article] 天保期松代藩における学問・知識の展開と「風俗」改革―山寺常山交友と思想を中心に― (2017)
  • Author(s): 小関悠一郎
  • Journal Title: 渡辺尚志編『藩地域の村社会と藩政―信濃国松代藩地域の研究<５>』岩田書院（図書収載論文） Volume: ― Pages: 195-250
• [Journal Article] 戦争体験をいかに継承するか (2016)
  • Author(s): 吉田裕
  • Journal Title: 部落問題研究 Volume: 217 Pages: 4-19
• [Journal Article] 吉見裁判とその支援運動―提訴から地裁判決まで― (2016)
  • Author(s): 加藤圭木
  • Journal Title: 戦争責任研究 Volume: 86 Pages: 10-16
• [Journal Article] 朝鮮民族運動家の日本観―一九一〇～二〇年代を中心に― (2016)
  • Author(s): 加藤圭木
  • Journal Title: 杉並歴史を語り合う会・歴史科学協議会編『隣国の肖像―日朝相互認識の歴史』大月書店（図書所収論文） Volume: ― Pages: 154-169
• [Journal Article] 日露戦争下における朝鮮東北部の「軍政」 (2016)
  • Author(s): 加藤圭木
  • Journal Title: 一橋社会科学 Volume: 8 Pages: 37-56
• [Journal Article] 1920～30年代朝鮮における地域社会の変容と有力者・社会運動―咸鏡北道雄基― (2016)
  • Author(s): 加藤圭木
  • Journal Title: 商学論纂（吉見義明教授古稀記念論文集） Volume: 58-5・6 Pages: 29-61
• [Journal Article] 閔氏政権成立の歴史的背景 (2016)
  • Author(s): 糟谷憲一
  • Journal Title: 朝鮮史研究会編『朝鮮史研究会論文集』 Volume: 54 Pages: 5-32
• [Journal Article] 生きられた学校と近代学校批判 (2016)
  • Author(s): 木村元
  • Journal Title: 教育思想史学会『近代教育フォーラム』 Volume: 25 Pages: 86-94
• [Journal Article] 解放直後の在日朝鮮人運動と「戦争責任」論（1945-1949）：戦犯裁判と「親日派」処罰をめぐって (2016)
  • Author(s): 鄭栄桓
  • Journal Title: 日本植民地研究 Volume: 28 Pages: 20-41
• [Presentation] 日本軍「慰安婦」問題を大学でどう教えるか（How to Teach the Japanese Military 'Comfort Women' Issues at University） (2017)
  • Author(s): 加藤圭木
  • Organizer: Practicing History at the Time of Crisis in Globalization Consensus（岐路に立つグローバリゼーションと歴史実践）
  • Place of Presentation: 一橋大学第三研究館(東京都国立市）
  • Year and Date: 2017-03-05
  • Int'l Joint Research / Invited
• [Presentation] 我的歴史研究之途―従古代朝鮮史到東亜史 (2016)
  • Author(s): 李成市
  • Organizer: 思勉人文講座314
  • Place of Presentation: 華東師範大学思勉人文口頭研究院（中華人民共和国・上海）
  • Year and Date: 2016-09-13
  • Int'l Joint Research / Invited
• [Presentation] 室町幕府雑務沙汰と「借書」の効力 (2016)
  • Author(s): 松園潤一朗
  • Organizer: 室町期研究会第52回例会
  • Place of Presentation: 明治大学（東京都千代田区）
  • Year and Date: 2016-08-05
• [Presentation] 政治主体をどう論じるのか (2016)
  • Author(s): 加藤圭木
  • Organizer: 日本植民地研究会第24回全国研究大会
  • Place of Presentation: 立教大学池袋キャンパス太刀川記念館3階（東京都豊島区）
  • Year and Date: 2016-07-03
  • Invited
• [Presentation] 日朝関係の近代的変容と境界領域―明治維新期の対馬を中心に― (2016)
  • Author(s): 木村直也
  • Organizer: 立教大学史学会
  • Place of Presentation: 立教大学池袋キャンパス（東京都豊島区）
  • Year and Date: 2016-06-25
• [Book] 植民地期朝鮮の地域変容―日本の大陸進出と咸鏡北道― (2017)
  • Author(s): 加藤圭木
  • Total Pages: 280
  • Publisher: 吉川弘文館
• [Book] 朝鮮現代史 (2016)
  • Author(s): 糟谷憲一・並木真人・林雄介
  • Total Pages: 454
  • Publisher: 山川出版社
• [Book] 植民地主義歴史と帝国―脱植民主義歴史学研究のために― (2016)
  • Author(s): 李成市・尹海東
  • Total Pages: 368
  • Publisher: 本と共に社
• [Remarks] 「日韓相互認識」研究会コミュニティー・ホームページ
  • URL: https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/handle/10086/17439