2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26245003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
糠塚 康江 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60237790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 弘通 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70257161)
飯島 淳子 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00372285)
河村 和徳 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (60306868)
稲葉 馨 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10125502)
樺島 博志 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00329905)
小田中 直樹 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (70233559)
大山 礼子 駒澤大学, 法学部, 教授 (70275931)
小粥 太郎 一橋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40247200)
只野 雅人 一橋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90258278)
中島 徹 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (60366979)
長谷川 貴陽史 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (20374176)
牧原 出 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00238891)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 代表民主主義 / 選挙 / 地方自治 / 住民 / 区画 / 土地 / 生活空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、代表民主主義論の現代的再構築を図ることにある。本研究が着眼するのは、(a)「土地」から切り離された抽象的個人を単位として「一人一票」原則を志向する選挙制度、(b)「土地」に根差した現実生活上の具体的まとまりを単位とした地方自治制度、(c)「土地」をめぐる国家と個人の相互関係(国家3要素の一つである領土、私的所有権の対象である土地)、の3点である。3つの着眼点を常に相互に関連づけながら、本研究は、公法学・私法学・基礎法学・政治学・歴史学の協働により、近代法の論理を軸としつつ、一方でその徹底と、他方でその脱構築、に向けた思考ないし方法論を探究しようとするものである。研究開始初年度に当たる本年度は、個別研究(2名の海外調査を含む)に加え、全体研究会を2回仙台で開催した。 第1回研究会(9月11日)では、研究分担者飯島報告の問題提起を起点に、本来抽象的な区画である「選挙区」が「土地」という生活空間に結びつくことで、emotionalなものに転化する論理の探求という課題を確認した。研究分担者稲葉報告は、詳細な資料に基づき、衆議院議員選挙の「一人別枠制」廃止に伴う選挙区の見直しを分析し、「法律事項」と区画審との関係に制度的改革の課題を見出した。 第2回研究会(3月6日)では、研究分担者小田中報告・同只野報告が、近代から現代にいたるフランスの選挙制度を通観した。討論の中で、革命期から19世紀の中葉までのフランスの名望家支配と民衆の政治化との相互関係の論点から、選挙と「定住」の関係、中央と地方の結節としての「名望家」がキーワードとして注目された。国家の定義として、領土と人との結びつきが自明視されてきたが、2011年の震災は「有権者のいない選挙区」を生み出した。選挙が「統治権」を組織するものであるとするなら、先の震災の経験は、権力の編成を根底から問い直す必要を迫るものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、全体研究会による自由な討議によって、それぞれの思考が触発され、新たな地平が開かれる組織が構築されたことは、本研究にとって、何より得難い1年となった。問題意識を多面的に共有することで、専門領域にとらわれない視点を得て、個別研究課題の深化が図られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度第2回研究会で、本研究課題の比較分析対象としてのフランスの実例に関心が集まった。フランスの「県議会」は、県という自治体の運営主体であり、かつ、元老院議員の選挙人団の一部を構成する。この県議会に関わる選挙制度が、伝統的な選挙区であるカントンの区割り改革を断行することによって、大幅に変更された。その背景に何があり、どのようにしてそのような改革が実現されえたのか、本研究課題にとってまことに興味深い。また、日本においても平成の大合併によっておのずと地方議会に変化をもたらしたはずであり、日仏比較を一つの事例として行い、研究分担者の思考を刺激することを考えたい。
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Research Products
(30 results)