2015 Fiscal Year Annual Research Report
パーソナルデータの保護と利活用に関する法分野横断的研究
Project/Area Number |
26245012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中里 実 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40114582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍戸 常寿 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20292815)
加藤 貴仁 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (30334296)
金井 利之 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40214423)
米村 滋人 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40419990)
岩村 正彦 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60125995)
山本 隆司 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70210573)
樋口 亮介 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90345249)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パーソナルデータ / プライバシー / 個人情報保護法 / 行政機関個人情報保護法 / 社会保障・税番号 / 通信の秘密 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年次に当たる平成27年度は、パーソナルデータの保護と利活用に関する問題の所在を法分野横断的に分析・検討するために、各班合同で3回の研究会を開催した。昨年度から通算して第6回(2015年9月15日)では「個人情報保護法改正について」(宍戸常寿:研究分担者)が報告され、個人情報保護法制の課題について各法分野の観点からの質疑応答があった。第7回(12月1日)では「捜査法の思考と情報プライヴァシー(権)」(笹倉宏紀:慶應義塾大学教授)が報告され、捜査・訴追の必要とプライバシー保護のバランスについて、刑事法の観点を中心に質疑応答があった。第8回(2016年2月10日)では「インターネット上の情報の削除請求に関する近時の裁判実務」(赤川圭:弁護士)が報告され、コメンテーター(上机美穂:札幌大学准教授)のコメントとともに、いわゆる「忘れられる権利」をめぐる国際的動向、民事・刑事法における人格権保護の観点を中心に質疑応答があった。 さらに各班合同で2015年5月1日、特定個人情報保護委員会を訪問し、社会保障番号・税番号制度及びその運用、我が国におけるプライバシー・個人情報保護法制の発展の経緯、パーソナルデータをめぐる世界各国の動向についてヒアリング(堀部政男:特定個人情報保護委員会委員長)を行ったのをはじめ、各班において政府・法曹・企業関係者との情報交換等を通じて、パーソナルデータをめぐる動きの背景にある諸要因等を把握し、海外の法制度及び実態の調査を進めた。 そのほか、研究代表者・各研究分担者が、租税法、社会保障法、行政法、行政学、憲法、医事法、金融法、刑事法それぞれの分野において、パーソナルデータの保護と利活用に関する問題状況について調査・検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
改正個人情報保護法、刑事訴訟法、憲法、民法、民事保全法についての報告を受けて、メンバー間での活発な議論によって、パーソナルデータの保護と利活用に関する問題に対する各法分野のアプローチの異同が明らかになった。さらに安全・安心とプライバシー、EUデータ保護規則案、「忘れられる権利」等々、パーソナルデータの保護と利活用に関する海外の法制度及び実態が明らかになり、研究組織全体での共有が図られた。得られた研究成果も、個別の論文・研究発表の形で逐次公表されている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き同様の方針で研究を行うが、個人情報データベース提供罪の創設、GPS位置情報等、刑事法分野におけるパーソナルデータの保護と利活用を巡る動きが活発化し、法分野横断的に影響を与えつつあることがこれまでの研究において明らかになったことを踏まえて、刑事訴訟法分野の研究者を研究組織(技術・学術班)に加えることを検討している。パーソナルデータをめぐる動きの背景にある諸要因等を正確に理解するために、関係する文献の収集、パーソナルデータに詳しい実務家等へのヒアリング、及び日本法の考察に資する海外の法制度及び実態の調査を進めることは、平成27年度と同様である。さらに医療分野におけるパーソナルデータの保護と利活用に関する研究会ないしシンポジウムの開催を検討している。得られた研究成果は、個別の論文の形で逐次公表する。
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Research Products
(17 results)