2016 Fiscal Year Annual Research Report
将来の「下層」か「グローバル人材」か-外国人児童生徒の進路保障実現を目指して
Project/Area Number |
26245056
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
田巻 松雄 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (40179883)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
スエヨシ アナ 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (10431694)
小池 亜子 (田中亜子) 国士舘大学, 政経学部, 准教授 (10439276)
金 英花 宇都宮大学, 国際学部, 非常勤講師 (30742895)
稲葉 奈々子 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (40302335)
清水 奈名子 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (40466678)
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50382007)
立花 有希 宇都宮大学, 国際学部, 講師 (60736198)
今井 直 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (70213212)
Ballescas Maria 東洋大学, 国際地域学部, 教授 (70554905)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 外国人児童生徒 / 下層 / グローバル人材 / 進路保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、栃木県における6回目の外国人生徒進路状況調査、外国人生徒の就学歴とキャリア形成に関する調査(フィリピン人生徒を対象とする調査結果のまとめ、中国人生徒に対する予備調査開始)、高校入試における外国人生徒への進路保障の全国的な動向と地域間比較、外国人労働者調査のまとめ、韓国の小学校における多文化教育、外国人生徒の学ぶ場、等の諸テーマについて調査研究を進めた。外国人生徒の学ぶ場については、高等学校定時制と通信制および夜間中学に新たな関心を向けて予備的なフィールドワークを実施した。日本語指導を必要とする外国人生徒の定時制在籍者はすでに全日制在籍者を上回っている実態がある。個別指導を軸とする通信制課程は外国人生徒の貴重な学びの場となっている。現在、全国に31校ある夜間中学では約2000人の生徒が学んでいるが、そのうちの約8割が外国にルーツのある人々である。 これらの研究成果は、12月に開催したシンポジウム「岐路に立つ日本と世界ー多文化共生の課題を栃木・日本・韓国の視点で考える」で発信した(田巻松雄・神山英子・鄭安君「栃木県外国人労働者調査報告」、金英花「韓国における外国人児童生徒の現状と課題―日韓比較の視点を踏まえて」)。加えて、進路状況調査、外国人労働者調査、フィリピンにルーツを持つ若者の進路選択に関する意識調査の結果は、すべて宇都宮大学国際学部研究論集で発表した。また、第89回日本社会学会大会(10月7日)と日本学術会議多文化共生分科会公開シンポジウム(12月23日)でも研究成果を発表した。年度末には、成果報告書をまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者、分担者、協力者がそれぞれ調査研究を進めながら、全体研究会、シンポジウムなどで全体の進捗状況を確認することを実施し、全体の役割体制を確認しながら、当初の計画が遂行できるように慎重に進めてきた。 外国人児童生徒の就学歴とキャリア形成を主要な母語・国籍別(ブラジル・ペルー・中国・フィリピン)に検討することを試みてきたが、ブラジル人に関する研究がやや遅れている。進路保障の全国的な動向と地域間比較に関する研究は、関係者とのつながりが広がりかつ強化されてきたこともあり、順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、従来の調査研究を継続的に進めつつ、夜間中学と高等学校定時制通信制課程の現状と課題に関する調査をより一層進めたい。夜間中学に関しては、関西の夜間中学を対象にした夜間中学生からの聞き取りを計画する。平成29年度中に「多言語による高校進学ガイダンス主催者交流会」が初めて栃木県で開催される予定であり(会場、宇都宮大学)、市民レベルで外国人児童生徒の学習・進学支援に関わる関係者との協力関係も強化し、研究の深化を図る。
|