2016 Fiscal Year Annual Research Report
CERNーCOMPASSでの核子スピンのQCD構造の研究
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26247032
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
岩田 高広 山形大学, 理学部, 教授 (70211761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 達郎 宮崎大学, 工学部, 教授 (20253817)
宮地 義之 山形大学, 理学部, 准教授 (50334511)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 核子スピン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、核子スピンの謎に関して、QCDレベルでの核子スピンの分解の鍵となるクォークの軌道回転寄与の解明を目的としている。CERNでのCOMPASSにおいて偏極ドレル・ヤン反応での非対称度測定(偏極DY測定)を世界で初めて遂行し、クォークの軌道回転寄与の有無を確定する。また、深部仮想コンプトン散乱に関する測定をxの小さな領域で初めて行い、一般化されたクォーク分布(GPD)を抽出し、Jiの和則からクォークの軌道回転寄与を定量的に与える。H28年度には大型水素ターゲットに190GeVのミューオンビームを入射し、深部仮想コンプトン散乱をとらえ、その断面積の測定を6ヶ月に亘って行った。 本測定は高いエネルギーで初めて実施されてたGPD抽出のための測定として位置付けられ、その意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型水素ターゲットは予想以上に早く立ち上がり、GPD抽出のためのデータ収集を5月から11月まで実施できた。予定どおり正と負の両方のミューオンを入射しての散乱データの採取を行えた。予備的な解析によって、排他的な単一光子事象たとらえられ、散乱分布がを出すことができている。この散乱分布には深部仮想コンプトン散乱とバックグラウンド過程であるベーテハイトラー過程の干渉が見られ、確実に深部仮想コンプトン散乱をとらえていることが確認された。今後の解析によって、意味のある物理データが得られると予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進んでおり、H29には深部仮想コンプトン散乱の統計量を増やすために、大型水素ターゲットに190GeVのミューオンビームを入射し、深部仮想コンプトン散乱をとらえ、その断面積のミューオンスピン、および電荷依存性をしらべるための長期データ収集を予定している。H29年3月には実験準備が完了し、5月下旬からのデータ収集を行う。このデータ収集と並行して、昨年度に取得されたデータの解析を開始する。
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