2014 Fiscal Year Annual Research Report
CMB偏光の広視野観測にむけた高速回転望遠鏡の開発―インフレーション宇宙への挑戦
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26247045
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
田島 治 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80391704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽澄 昌史 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20263197)
大谷 知行 国立研究開発法人理化学研究所, その他部局等, その他 (50281663)
蓑輪 眞 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90126178)
服部 誠 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90281964)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宇宙マイクロ波背景放射 / インフレーション / 超伝導検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙初期のビッグバン(高温・高密度状態)は「インフレーション」と呼ばれる時空の加速膨張を源にするという説が有力である。その決定的証拠となる原始重力波は、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)偏光の大角度スケール渦パターン「原始重力波Bモード」として観測できるが、いまだ未発見である。この原始重力波Bモードの測定を達成する為に、本研究は大角度スケール観測に特化した高速回転望遠鏡「GroundBIRD」の開発をおこなっている。高速回転スキャンをはじめとする独創的な技術を駆使して、従来の地上実験より10倍も広い観測領域を実現するための実証試験を行ってきた。特に本年度は、超伝導検出器に関する3つの課題(1)地磁気遮蔽の確立、(2)高速読み出しシステム、(3)解析プログラムの開発に注力した。 (1)超伝導デバイスはある温度以下に冷却したときに超伝導化するので、地磁気遮蔽なしに冷却すると超伝導化時に内部に磁場をトラップしてしまう。つまり、地磁気を検出するアンテナを検出器内部に保有してしまう。実験装置はCMB観測時に地面に対して運動する為、このような磁場トラップは大きな障害となる。市販の高透磁率材の遮蔽に加えて、超伝導材を使った遮蔽手法を開発し、性能評価を行った。なお、装置全体を回転する系での評価実験は世界初の成果である。 (2)超伝導検出器の多重読み出しに欠かせない高速読み出しエレクトロニクスの設計・開発をおこない、設計どおりの帯域幅であることを確認した。 (3)実験においては、データ解析を共同研究者達と分業しておこなっていくが、Rawデータの処理手法が統一されていないと、首尾一貫性が損なわれる。最も深いレベルのRawデータ解析ブログラムを開発し、共同研究者間で標準化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に両偏波計測可能な超伝導検出器の試作機を製作予定であったが、シミュレーションによる設計に時間がかかり、その製作が次年度に持ち越されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に行う検出器評価試験のために、高速読み出しシステムのデジタル信号処理、評価試験を行う冷凍機、超伝導回路シミュレーションと超伝導デバイス製作技術を確立する。
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