2014 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂の相同染色体組換えに必要な分子・構造基盤とメカニズムの研究
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26251037
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平岡 泰 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10359078)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
減数分裂は、有性生殖を行う真核生物にとってゲノムを子孫に継承するための普遍的で重要なプロセスである。減数分裂においては、相同染色体の対合・組み換えが必須であるが、これを実現するために特有のクロマチン構造が作られる。本研究では、生細胞蛍光イメージングと分子遺伝学の手法を併用して、相同染色体組換えに伴って形成される減数分裂期クロマチン構造の分子基盤と形成メカニズムを明らかにする。減数分裂に特有のクロマチン構造として、相同染色体の相互認識部位の構造、DNA二重鎖切断部部位の構造、相同染色体の組換え中間体およびキアズマを解析する。減数分裂に障害を持つ変異株のクロマチン構造を解析し、原因遺伝子産物と異常の因果関係を明らかにする。このような構造の構成成分を生化学的に同定し、当該遺伝子の改変や破壊による機能解析とイメージング解析を行うことによって、その分子メカニズムを解明する。 平成26年度は、減数分裂に特有に形成されるクロマチン構造のイメージング解析を行った。生細胞イメージングにより、分裂酵母減数分裂期にDNA複製に伴ってクロマチン構造が緩くなること、またDNA複製に障害があると、減数分裂前期が延長する(野生株で約2時間のところが4時間以上に伸びる)ことを発見した。さらに、減数分裂前期の長さの制御に複製チェックポイントが関与することを明らかにし、その成果を論文として報告した(Ruan et al.,2015)。また、減数分裂期のテロメアクラスターに障害があると、スピンドルの形成に異常が出ることを見いだし、論文として報告した(Chikashige et al.,2014)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分裂酵母減数分裂期において、DNA複製やテロメアクラスターの障害が、減数分裂前期の進行に影響することを明らかにし、その成果を論文として報告した(Chikashige et al., 2014; Ruan et al. 2015,)。これらを含めて、分裂酵母の染色体と核ダイナミクスに関する論文を3編、またイメージング法や解析手法に関する論文を4編発表した。 学会発表を20件行うなど、未発表のもの含めて着実に成果が得られており、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに分裂酵母減数分裂期にDNA複製に伴ってクロマチン構造が緩くなることを発見したが、その仕組みについては未だ不明である。今後の課題は、このDNA複製期にクロマチン構造変化を生じさせる分子メカニズムを理解する必要がある。そのために、ヒストン修飾の関与について解析する必要があるだろう。今後の課題として、まず、減数分裂の進行に影響を与えるヒストン変異を検索する。次いで、ヒストンの変異体のクロマチン構造を解析する。ヒストン修飾を担う酵素を特定するために、候補となる遺伝子の破壊株や変異株の解析を行う。 また高分解能でクロマチン構造を観察するために、超分解能顕微鏡法として、3D-SIM (3次元Structured Illumination Microscope)を用いて、分裂酵母の染色体構造の解析に挑戦する。分裂酵母の細胞核は非常に小さい(直径2マイクロメートル)ため、蛍光量が少なく暗いのが問題であり、光学系や観察方法の改良を工夫する。 核膜タンパク質や核膜孔複合体タンパク質が染色体の挙動に与える影響についても、まだ不明な点が多く、解析する必要がある。これまでに核膜タンパク質の変異株のなかに染色体分離や減数分裂に障害を示すものを見いだしている。これらの変異株において減数分裂のどの段階で障害が生じるのかを調べ、その分子メカニズムの理解を目指す。
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Research Products
(29 results)
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[Presentation] 染色体末端付近において転写・複製に抑制的なクロマチン構造がShugoshin 2依存的に形成される2014
Author(s)
田代 三喜, 松田 厚志, 半田 哲也, 坂 琢人, 宮里 和実, 石井 浩二郎, 久郷 和人, 太田 邦史, 平岡 泰, 升方 久夫 , 加納 純子
Organizer
第32回染色体ワークショップ・第13回核ダイナミクス研究会
Place of Presentation
安芸グランドホテル、広島県
Year and Date
2014-12-17
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