2014 Fiscal Year Annual Research Report
開放系大気CO2増加および温暖化実験を利用した気候変動適応イネ遺伝子型の探索
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26252004
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
酒井 英光 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 主任研究員 (00354051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江花 薫子 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝資源センター多様性活用研究ユニット, 主任研究員 (00370643)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 気候変化 / イネ / FACE / 遺伝子型 / 温暖化 / 大気CO2増加 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.群落温暖化(T-FACE)装置の設置と精度検証 セラミックヒーターでの赤外放射によるT-FACE装置を試作した。実際の水稲群落上約1mの高さに、セラミックヒーターを2×2mの四隅に45度の俯角で取り付け、4平方mの四角形エリアを昇温させた。高精度放射温度計で昇温区と対照区の平均表面温度を測定し、常に2℃の昇温となるようPID制御試験を行い、最適なPID各係数を決定した。風速2.5m/s未満では平均で1.93℃の昇温を達成し、ヒーター稼働率は75%程度であったが、それ以上の風速ではヒーター稼働率が100%でも昇温が1~1.5℃程度に留まった。 今年度の試作試験で、本手法が有効であることがわかったが、本試験では水稲の蒸散強度等が異なると考えられるため、PID係数を再調整する必要がある。 2.イネコアコレクションにおける高CO2応答の遺伝的変異 茨城県つくばみらい市の農家水田に設置した開放系大気CO2増加(FACE)実験施設において、世界イネ・コアコレクション(69品種)の栽培を行い、約200ppmのCO2濃度上昇に対する応答性を調査した。6月16日に移植し、85日後に刈り取りを行い、茎数および地上部バイオマスの測定を行った。高CO2処理による茎数の増加率は品種により異なり、最大が70.8%、最小が-31.7%であり、全品種平均では6.5%であった。地上部バイオマスの増加率においてはさらに変動幅が大きく、最大が118.4%、最小が-22.4%であり、平均では15.2%であった。高CO2に対する茎数の応答性と地上部バイオマスの応答性には強い正の相関関係がみられたことから、応答性の品種間差異は、茎数の増加を通じて地上部バイオマスに現れたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
群落温暖化(T-FACE)装置を試作し、制御性の検証を行った。その結果、再調整は必要であるが、実際の水田において水稲群落を昇温出来ることが示された。 高CO2応答の遺伝的変異の解明については、世界イネ・コアコレクションの開放系大気CO2増加(FACE)実験を行い、多様な遺伝子型によって高CO2に対する応答性が異なることを確認できたと共に、その変動幅が定量的に明らかにされた。 以上のことから、本研究は計画通り、順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
群落温暖化(T-FACE)装置の有効性が確認されたことから、次年度は本装置を用いて、開放系温暖化実験を行う予定である。本実験より、高CO2濃度による増収効果が、高温によってどのように変化するかを検証する。 高CO2応答の遺伝的変異の解明については、昨年度と同様の開放系大気CO2増加(FACE)実験を行い、結果の年次反復を取る予定である。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Elevated atmospheric CO2 levels affect community structure of rice root-associated bacteria2015
Author(s)
Takashi Okubo, Dongyan Liu, Hirohito Tsurumaru, Seishi Ikeda, Susumu Asakawa, Takeshi Tokida, Kanako Tago, Masahito Hayatsu, Naohiro Aoki, Ken Ishimaru, Kazuhiro Ujiie, Yasuhiro Usui, Hirofumi Nakamura, Hidemitsu Sakai, Kentaro Hayashi, Toshihiro Hasegawa, Kiwamu Minamisawa
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Journal Title
Frontiers in Microbiology
Volume: 6
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Characterization of leaf blade- and leaf sheath-associated bacterial communities and assessment of their responses to environmental changes in CO2, temperature, and nitrogen levels under field conditions2015
Author(s)
Seishi Ikeda, Takeshi Tokida, Hirofumi Nakamura, Hidemitsu sakai, Yasuhiro Usui, Takashi Okubo, Kanako Tago, Kentaro Hayashi, Yasuyo Sakiyama, Hiroshi Ono, Satoru Tomita, Masahito Hayatsu, Toshihiro Hasegawa, Kiwamu Minamisawa
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Journal Title
Microbes and Environments
Volume: 30
Pages: 51-62
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Effects of elevated carbon dioxide, elevated temperature, and rice growth stage on the community structure of rice root-associated bacteria2014
Author(s)
Takashi Okubo, Takeshi Tokida, Seishi Ikeda, Zhihua Bao, Kanako Tago, Masahito Hayatsu, Hirofumi Nakamura, Hidemitsu Sakai, Yasuhiro Usui, Kentaro Hayashi, Toshihiro Hasegawa, Kiwamu Minamisawa
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Journal Title
Microbes and Environments
Volume: 29
Pages: 184-190
DOI
Peer Reviewed
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