2015 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動下の水田生態系の炭素循環を左右する窒素:メタン削減に繋ぐ機作の解明
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26252061
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
林 健太郎 国立研究開発法人 農業環境技術研究所, 物質循環研究領域, 上席研究員 (70370294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 利拡 国立研究開発法人 農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 上席研究員 (10228455)
常田 岳志 国立研究開発法人 農業環境技術研究所, 物質循環研究領域, 研究員 (20585856)
小野 圭介 国立研究開発法人 農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 主任研究員 (20549555)
八島 未和 (松島未和) 千葉大学, 園芸学研究科, 講師 (60527927)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メタン / 窒素 / 水田 / 高CO2 / 気候変動 / イネ / 根域 |
Outline of Annual Research Achievements |
水田は強い温室効果をもつメタン(CH4)の発生源である.水田のCH4動態は地球システムの炭素循環と気候に影響を及ぼし,二酸化炭素(CO2)の大気濃度の増加や気候変動に伴う昇温は水田のCH4発生を促して気候変動を助長する.CH4発生は水田生態系の炭素循環の一過程であり,その炭素循環はイネに対する窒素可給性の影響を強く受けると考えられる.本研究の目的は,気候変動下の水田のCH4発生削減に繋がる機作とその窒素条件の解明である.このために,平成27年度は次の項目について実験および解析を行った:①重窒素標識実験,②メタン酸化実験,③無機化定量実験,④FACE水田と真瀬水田の共同解析,および⑤作物モデルの検証と改良.それぞれの主な研究実績は以下のとおりである. ①は,重窒素標識被覆尿素肥料を用いた2品種(コシヒカリ,タカナリ)の栽培に基づき,高CO2に対するイネ部位別バイオマス,炭素窒素含量,土壌溶液アンモニウム窒素濃度などの応答を調べた.今後各試料の同位体シグナルを定量する.②は,メタン酸化阻害剤を用いた2窒素条件(施肥の有無)および2品種(コシヒカリ,タカナリ)のメタンフラックス測定を行い,高CO2に対する各条件のメタン生成・酸化の定量を試みた.③は,嫌気条件での現地培養により水田土壌の無機化速度を調べるとともに,イオン交換樹脂による簡易プローブによる無機化速度の定量可能性を検討した.④は,つくばみらいFACE実験水田から約10kmの距離にある真瀬実験水田の微気象データの解析を行い,猛暑日といった短期イベントにおける水田微気象要素の変動の特徴を解析した.⑤は作物モデルをこれまでの実験データにより検証し,イネの品種間差による窒素吸収の特徴の違いを反映する必要性などを見い出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度のポット試験による窒素収支・分配のイネ品種間差のデータに基づき平成27年度のつくばみらいFACE水田における研究計画を見直し,特に重窒素標識実験およびメタン酸化実験の設計に反映して実験を行い,計画どおりの試料・データを得ることができ,現在,分析と解析を続けている.おおむね当初計画どおりに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度のポット試験およびモデル検証・改良結果,ならびに平成27年度のつくばみらいFACE水田におけるフィールドレベルの実験結果に基づき,最終年度にあたる平成28年度は,異なる窒素可給性およびイネ品種が水田のメタン発生の高CO2に及ぼす影響を解明する.ここではイネ根圏におけるメタン酸化の定量も組み合わせ,一層のメカニズム解明に取り組み,本研究課題の初期研究目的の達成を目指す.
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] 土がささえる食と自然2016
Author(s)
林健太郎
Organizer
NACS-J市民カレッジ
Place of Presentation
三菱商事MC FOREST
Year and Date
2016-01-27 – 2016-01-27
Invited
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