2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍微小環境の修飾による根治的ウイルス療法の開発研究
Project/Area Number |
26253073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤堂 具紀 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80272566)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳腫瘍 / ウイルス療法 / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
単純ヘルペスウイルスⅠ型(HSV-1)のゲノムを遺伝子工学的に改変して、腫瘍細胞で選択的に複製するがん治療用遺伝子組換えHSV-1を作製できる。研究代表者らは治療域の広い第三世代がん治療用HSV-1を開発し、我が国初のウイルス療法の臨床展開を行っている。本研究は、悪性脳腫瘍の根治的な治療開発を目指して、脳腫瘍微小環境の修飾を介した革新的ウイルス療法の開発研究を行うことを目的とする。臨床研究データやヒト膠芽腫由来がん幹細胞の特性解析、更にはがん細胞におけるウイルス複製等の最新知見に基づいた研究を行っている。目的の外来遺伝子を確実に挿入し、且つ複数のHSV-1を並行して短期間で作製することが可能な、G47Δを基本骨格とするBACシステムを活用して、脳腫瘍幹細胞標的型HSV-1として、脳腫瘍幹細胞の幹細胞性維持やsphere形成能を阻害するTGF-β阻害因子またはBMP4を発現する新規HSV-1を作製した。平成27年度は特に、悪性脳腫瘍由来のがん幹細胞や、がん幹細胞様の特性を有するSAS細胞株を用いたマウス腫瘍モデルを用いてin vivo評価を進め、TGF-β阻害因子発現型ウイルスやBMP4発現型ウイルスの高い有効性を明らかにした。更に、がん幹細胞が豊富な悪性脳腫瘍や良性脳腫瘍でも高いウイルス複製が得られるHSV-1を作製するため、G47Δで欠失したICP6を腫瘍特異的プロモータで制御したICP6遺伝子で置換した新規HSV-1を作製した。腫瘍特異的プロモータ活用型ウイルスは、特にゆっくりと増えるがん幹細胞において高い複製能を示した。更に、抗VEGF抗体を発現するHSV-1を新規に作製した。世界でウイルス療法開発が激化する中、膠芽腫の根治をも可能にする、日本独自の、革新的かつ実用的な脳腫瘍治療の開発研究を推進する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、悪性脳腫瘍の根治的な治療開発を目指して、脳腫瘍微小環境の修飾を介した革新的ウイルス療法の開発研究を行うことを目的とする。平成27年度は以下の成果を達成した。 1.脳腫瘍幹細胞標的型HSV-1の作製 i) 目的の外来遺伝子を確実に挿入し、且つ複数のHSV-1を並行して短期間で作製することが可能な、G47Δを基本骨格とするBACシステム(T-BAC)を活用して、脳腫瘍幹細胞の幹細胞性維持やsphere形成能を阻害する抗TGF-β蛋白またはBMP4を発現する新規HSV-1を作製した。悪性脳腫瘍由来のがん幹細胞や、がん幹細胞様の特性を有するSAS細胞株を用いたマウス腫瘍モデルを用いてin vivo評価を進め、TGF-β阻害因子発現型ウイルスやBMP4発現型ウイルスの高い有効性を明らかにした。 ii) がん幹細胞が豊富な悪性脳腫瘍や、良性脳腫瘍でも高いウイルス複製が得られるHSV-1を作製するため、G47Δで欠失したICP6を腫瘍特異的プロモータで制御したICP6遺伝子で置換した新規HSV-1を作製した。腫瘍特異的プロモータ活用型ウイルスは、特にゆっくりと増えるがん幹細胞において高い複製能を示した。 2.抗VEGF分子発現型HSV-1の作製 平成26年度に作製した抗VEGF機能を有する複数のHSV-1に加え、抗VEGF抗体を発現するHSV-1を新規に作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍特異的なウイルス複製能に優れ且つ安全性が高い第三世代単純ヘルペスウイルスⅠ型(HSV-1)G47Δの膠芽腫患者への実用化を見据えて、悪性脳腫瘍の根治的な治療開発を目指し、脳腫瘍微小環境の修飾を介した革新的ウイルス療法の開発研究を行う。平成28年度以降は以下の計画で推進する。 1. 脳腫瘍幹細胞標的型HSV-1の作製と評価 ⅰ) 目的の外来遺伝子を確実に挿入し、且つ複数のHSV-1を並行して短期間で作製することを可能にするため、G47Δを基本骨格とするBACシステム(T-BAC)を活用する。本研究で脳腫瘍幹細胞の幹細胞性維持やsphere形成能を阻害する因子を発現する新規HSV-1を複数作製した。平成28年度は特に、BNP4発現型HSV-1の評価を進める。 ⅱ) がん幹細胞が豊富な悪性脳腫瘍や良性脳腫瘍でも高いウイルス複製が得られるHSV-1を作製するため、G47Δで欠失したICP6を腫瘍特異的プロモータで制御したICP6遺伝子で置換した新規HSV-1を作製して、有効性の評価を継続する。 2. 抗VEGF分子発現型HSV-1の評価 免疫反応自体を阻害せずに、それに伴う脳浮腫のみを抑制する機能を有するHSV-1ができれば、脳腫瘍のウイルス療法にきわめて有用である。本研究では抗VEGF機能を有するHSV-1を複数作製する。平成28年度は特に、抗VEGF抗体を発現する新たなHSV-1について、有効性の評価を継続し、更に作用機序を探索する。
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[Journal Article] Strong therapeutic potential of γ-secretase inhibitor MRK003 for CD44-high and CD133-low glioblastoma initiating cells2015
Author(s)
Tanaka S, Nakada M, Yamada D, Nakano I, Todo T, Ino Y, Hoshii T, Tadokoro Y, Ohta K, Ali MAE, Hayashi Y, Hamada JI, Hirao A
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Journal Title
J Neurooncol
Volume: 121(2)
Pages: 239-250
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] がんの遺伝子治療2015
Author(s)
藤堂具紀
Organizer
第29回日本医学会総会 2015関西
Place of Presentation
国立京都国際会館(京都府京都市)
Year and Date
2015-04-12
Invited
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