2014 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シーケンサーを用いた骨組織のエピジェネティクスと細胞間ネットワークの解明
Project/Area Number |
26253075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50282661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 旬 東京大学, 医科学研究所, 助教 (00456112)
田中 滋之 東京大学, 医学部附属病院, その他 (10645857)
安井 哲郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30583108)
門野 夕峰 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70401065)
武冨 修治 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70570018)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨代謝学 / エピジェネティクス / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス骨髄細胞を用いて次世代シーケンサーによる解析を行った。マウス骨髄細胞を採取しM-CSF、TGF-b、RANKLを含有した培養液で培養すると、破骨細胞が早期より多く形成され、TGF-bはRANKL誘導性破骨細胞分化に対して促進的に作用した。TGF-b下流分子であるSmad2/3のゲノム上への応答について網羅的な遺伝子解析を行うためにChIPseqを行った。Smad2/3はプロモーター領域に多く結合しており、転写調節を行っているものと考えられた。結合モチーフの解析によりAP-1分子が候補分子として上がり破骨細胞分化シグナルに関与するc-FosとSmadの関係を調べた。核内タンパクの発現を解析するとTGF-bとRANKLの刺激によって核内c-Fos、Smadの発現が上昇し、Smadシグナルの阻害剤であるSB431542を用いた共刺激ではそれらの発現が低下していた。またc-FosとSmadの直接的な結合を免疫沈降法によって確認し、細胞免疫染色の手法によって2分子の細胞内における共局在性を示した。そこでRANKL刺激後の状態におけるSmadとc-FosのChIPseqを行ったところ、Smadとc-Fosが共に結合する領域が存在することがわかり、さらに2分子の結合が存在する領域においてはFAIREseqのシグナル量が高いことがわかった。Smadとc-Fosはゲノム全体において協調してクロマチンリモデリングに作用し、標的遺伝子の転写を制御している可能性が示唆された。Smadシグナルを阻害すると、NfatC1遺伝子へのc-Fosの結合シグナル量が減少した。またc-Fosノックアウト細胞では、RANKLとTGF-bを加えてもSmadの結合が抑えられた状態であった。RANKL誘導性破骨細胞分化過程において、Smadとc-Fosは協調して相互にゲノム上への結合を制御していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス細胞サンプルを用いた、次世代シーケンサを用いた実験を実行中であり、概ね順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針として、マウスを用いた予備実験を重ねていく予定である。特に破骨細胞分化マスターキーレギュレーターであるNfatC1遺伝子を中心として、網羅的なゲノム解析を行って行く予定である。
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Research Products
(2 results)