2014 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴルの地下資源開発、特に金採掘に伴う水銀汚染の実態とその影響評価
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26257301
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
永淵 修 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (30383483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 一平 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (20390718)
尾坂 兼一 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (30455266)
金藤 浩司 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (40233902)
横田 久里子 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60383486)
岡野 寛治 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (90074088)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小規模金採掘 / 水銀汚染 / 地下資源開発 / モンゴル / 大気汚染 / 地下水汚染 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年8月~9月にかけて2週間、モンゴル国内の小規模な鉱山についてモンゴル科学アカデミーと協働で調査を行った。調査地はボロー鉱山および周辺、ガチョールティーン・ショローン鉱山周辺、ザーマル鉱山および周辺、オヤンガ鉱山および周辺において大気および河川水、地下水を採取し、大気中水銀濃度、河川中水銀濃度、イオン濃度および金属濃度を測定した。現在、鋭意解析中である。これら小規模金採掘鉱山においては、規模が小さいほど水系の水銀濃度が高いことが明らかになった。これは、ニンジャと呼ばれる個人で非合法に金採掘を行い、ニンジャたちのの集落で精錬を行っているからであり、したがって、そこでの水系の水銀濃度が非常に高い。また、大気中濃度も水銀を使用していると推測される装置の近傍で高濃度になっていた。 ボロー鉱山周辺の河川水でヒ素濃度の高い箇所を見出したが、人為由来によるか自然由来によるかは、今後の解析を待たねばならない。
ウランバートル市内の石炭燃焼に由来する水銀濃度については、モバイル型の水銀計測器により、モンゴル科学アカディミ―サイドで鋭意計測中である。
南ゴビの大規模地下資源開発地域(タバントルゴイ(石炭)、オユトルゴイ(銅、金))の地下水の汚染状況を解析し、Journal of Inner Asia 誌に掲載された。また、同地域の地下水調査を拡大し、地下水飲用によるリスク評価を行い、International Journalに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初目的の①~⑤について、①の小規模金採掘の比率が高いオルホン川流域での詳細な調査ができたこと③についてもオルホン川流域についてはリスク評価を行っている。④についても進捗している。⑤については、モンゴル科学アカデミ―側に大気観測について技術移転を行っている。また、本年度に内モンゴル出身の研究者とも水系のリスク評価法について共同で調査を行い、技術を移転する予定である。 これらの結果から、本研究はかなり進捗していると自己評価を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
調査地をモンゴルのみでなく、内モンゴルにも広げる(2015年調査予定)。モンゴル、内モンゴルの大気汚染は、日本にも影響を与えていることが、申請者の屋久島、富士山頂等の調査で明らかになってきた。東アジアにおける大気中への水銀排出の発生源の一つであるモンゴル、内モンゴルからの越境汚染について、日本の山岳地帯で観測し、レセプターモデルを用いて、モンゴル、内モンゴルからの寄与率も算出する。 当然、当初目的のモンゴル国内での調査も鋭意行い、発生源側でのリスク評価、それを受ける側の評価まで広げて本研究を推進することにする。
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Research Products
(4 results)