2017 Fiscal Year Annual Research Report
Evolutionary mechanisms of periodical organisms
Project/Area Number |
26257405
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
吉村 仁 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (10291957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽田 貞滋 京都大学, 理学研究科, 教授 (00192625)
柿嶋 聡 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 支援研究員 (30648580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 周期ゼミ / 進化メカニズム / 米国 / 分子系統解析 / シミュレーション / 素数 / 大発生 / アリー効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の学術調査(17年ゼミ、ブルードVI)である。本年度は、ブルードVは、ノースカロライナ州とその周辺の州(サウスカロライナ州、ヴァージニア州、ジョージア州)で発生した。これらが学術調査に加えて、ヴァージニア州のFredericksburg市に周期ゼミの数年前に発生したブルードの幼虫の採集(RNA分析)をした。さらに、6年周期植物のコダチスズムシソウやその近縁種の沖縄・台湾・東南アジアでの調査および遺伝子解析をすすめた。とくに周期性の祖先系が多回繁殖の多年草で、一回繁殖をへて6年周期にしたことが分かった。この進化は、種内の地域的変異で起こっていた(現在、投稿中)。本課題の実証研究の中心的な目的である周期ゼミの進化史に関係する問題では、decim, casiniとdeculaの3系統で遺伝子交流が見られるにもかかわらず、3系統独立で並行して、13年周期と17年周期に分化したことを遺伝子情報解析より見出した(Nature Publishing Groupの新雑誌Communications Biologyに掲載)。これら、周期ゼミの調査・実証研究の他、異なるブルード間の幼虫の競争排除のシミュレーションによる研究を進めた(現在投稿準備中)。また、絶滅回避問題として、日本の固有種で絶滅危惧種で湧水性植物ハタベカンガレイの存続問題で、流域の周辺の竹林の強大化により日陰になったことにより、ハタベカンガレイ個体群の存続が危機的状況になっていることを発見した(現在原稿作成中)。その他、植物の群落の多様性がどのように維持されているかなど、絶滅回避の適応など進化・共存に関する多くの論文を合計7報掲載または掲載決定にこぎつけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題の実証研究の中心的な目的である周期ゼミの進化史に関係する問題で、decim, casiniとdeculaの3系統で遺伝子交流が見られるにもかかわらず、3系統独立で並行して、13・17年周期に分化したことを遺伝子情報解析より見出した(Nature Publishing Groupの新雑誌Communications Biologyに掲載)。ここではtranscriptomeやgenome informaticsの手法を使い、これらの遺伝情報解析をできたことは本申請課題の大きな一歩といえる。この論文がNature Publishing Groupの新雑誌のCommunications Biologyに掲載されたこともとても大きな成果と云える。さらに、投稿中ではあるが、周期植物コダチスズムシソウの祖先種(祖先型)が確定したことは、近縁種の見つかってない周期ゼミでは不可能であり、周期生物の進化研究でも大きな一歩であろう。また、流失と新規定着を繰返しているハタベカンガレイが、周囲の森林の成長により河川の川面が日陰になることが、光合成を低下させて、群落の消失に向かうことを見出したのは投稿準備中だがすばらしい成果である。掲載誌としてもCommunications Biologyをはじめに、ネイチャー姉妹誌Scientific Reportsに3通、国際1流誌のJournal of Theoretical Biology, Ecology and Evolution, Journal of Insect Physiologyに各1通掲載・掲載決定など合計7通となった。これは本来の計画の倍以上の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の学術調査(17年ゼミ、ブルードVII)を現在準備中である。本年度は、ブルードⅥは、ノースカロライナ州からサウスカロライナ州を経てジョージア州にかけてのアパラチア山脈を中心に発生したが、次年度は、ニューヨーク州シラキュース市の周辺の比較的狭い地域に発生が予定されている。ほかのセミと昆虫相の調査も兼ねて、周辺の丁寧な調査・採集を予定している。また、必要に応じてマサチューセッツ州、コネチカット州、フロリダ州などへの遠征も実施する。とくに、シラキュース市では、ニューヨーク州立大学環境科学林学大学(吉村仁は在外教授)に拠点を置いて、調査・研究をすすめる。また、周期ゼミの数年前に発生したブルードの幼虫の採集(RNA分析)などを進める。その他、6年周期植物のコダチスズムシソウの調査を沖縄・台湾・東南アジアなどで、また8年で周期発生するキシャヤスデの調査もすすめる。理論研究は、周期ゼミのブルード境界の分離・競争排除の動態の論文投稿準備や、その他の生物での環境変化・変動に対する適応の問題を扱う。
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Research Products
(15 results)
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[Book] 素数のきほん2018
Author(s)
吉村 仁、上野健爾、太田和夫
Total Pages
62
Publisher
株式会社ニュートンプレス
ISBN
978-4-315-52093-4
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