2014 Fiscal Year Annual Research Report
ライフログに基づくe-コーチングのための技能ログ分析
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26280074
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
間瀬 健二 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (30345855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 高嗣 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (10423021)
清水 卓也 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (60273223)
榎堀 優 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (60583309)
森田 純哉 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 助教 (40397443)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人間情報学 / ヒューマンインタフェース・インタラクション / マルチモーダルインタフェース / ライフログ / コーチング / ものづくり技能 / 体幹固定 / モーションセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.技能ログのパターン認識研究 (1)ものづくり技能:ヤスリがけ技能訓練中(4日間)のコーチの発話状況を,一人称視点カメラを装着して収集し,18人の訓練生に対する発話を分析した.技能レベルと指導量の関係性分析行ったところ,最終試験結果(能力)と発話回数(指導)に負の相関(-0.56, p<0.05)が見られた.また,訓練生をコーチによる指導経験の有無で2群に分割し分析したところ,コーチは訓練生の能力に関する事前知識に応じて,指導量を調整していることが示唆された.(2)スポーツリハビリ技能:体幹固定のメカニズムは,四肢の動作に先駆けて体幹固定が起こることが明らかになっている.体幹固定は腹圧と胸腔内圧の調節を介しているメカニズムが存在するが,布センサを腹圧および胸腔内圧の安定性を反映するという仮説のもとに,まず2名のパイロットスタディでは自覚的に正確性が劣る場合には基線の不整が増加する現象が認められた.したがって布センサのバイオフィードバックへの応用が可能であると推測できた.更に大学ラグビー部男子8名,ソフトボール部女子12名に対して,ドローイン,アブドミナルブレーシング訓練を対照群を設定し予備調査した.視認による基線の安定性で明らかに効果があった者は少なく,旧来のトレーニング法の限界が示唆された. 2.技能ログの収集環境と要約技術の研究 上記実験のためのデバイスを導入し実験環境を整えた.コーチや選手の振り返り支援を目的とした,コンテキストを手がかりとした映像データの要約方法を開発した.サッカーの多視点映像から視聴者の嗜好にあった最適なカメラ系列を自動編集方法する方法を開発した.シーンコンテキストごとにパラメータの最適化を図ると,視聴者の嗜好との一致度が従来手法より数%向上することがわかった(IEEE ISM2014 最優秀論文賞受賞).また、サッカーコーチの視線配布特徴把握を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.技能ログのパターン認識研究 (1) ものづくり技能:ヤスリがけ訓練は,ものづくり技能者の訓練のうち最も基礎的な訓練とされている.単に道具の使い方や身体の使い方だけではなく,作業の段取り,安全意識の熟成などの養成も含んでいる.そこで訓練作業中のコーチの声かけに着目して,声かけの効果を調査した.技能の低い訓練生に対しより多くの発話(声かけ)をしている実態がデータから明らかになった.また,発話内容も訓練生の特性をとらえていることが示唆された.まず,訓練生の技能レベルと指導の関係性が発話から調べられることがわかったので,今後は,指導前後の効果測定の調査の段階に移行できる. (2) スポーツリハビリ技能:Pavel Kolarにより提唱された,Dynamic Neuromuscular Stabilization(以下DNS)の考え方は,近年トップアスリートに適用され,傷害予防と競技力向上を両立させるアスレティックリハビリテーションを可能にしている.DNSの中心的な概念であるcore stabilizationを有効にバイオフィードバックさせ,体得させるためのツールとして布センサの応用を試みた.2014年度は布センサのバイオフィードバックへの応用の可能性を調査するにとどめた.体幹固定による動作の制御機構について調査したところ,腹横筋,骨盤底筋,横隔膜による腹圧制御はこれら3つの構成体の最も安定しないものに依存することが予想されたので,新しいトレーニング法 (deep core training) を考案して応用を図っているところである. 2.技能ログの収集環境と要約技術の研究 データ収録は,新しいデバイスを導入して個別のデータ収集環境が整った.今後はマルチモーダル化と既存のセンサとの組み合わせなどの環境整備を進められる.また,開発した要約技術は,多視点視聴を対象としており,本課題のコーチング振り返り支援やコーチング観点の抽出の足がかりとなる.
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Strategy for Future Research Activity |
1.技能ログのパターン認識研究 (1) ものづくり技能:26年度実施のコーチの第1人称視点映像および発話状況の収集分析による技能レベルと指導の関係性分析を継続する.指導時の発話量は訓練生の技能レベルに反比例する傾向があることが,予備実験で明らかになったので,さらにデータを充実させ関係性を明らかにする.センサ情報を用いた技能尺度提示による指導への貢献を調査し,指導内容と技能尺度との相関分析を行う.スポーツリハビリ技能指標に基づく体作り状況を調査する. (2) スポーツリハビリ技能:腹圧制御機構は呼吸のフェーズに依存する可能性が大きいと推測できるので,体幹固定機能評価動作のdead bugにおける呼気相と吸気相で体幹固定機能を布センサによる比較をおこなう.また体幹固定機能は腹横筋,骨盤底筋,横隔膜による腹圧制御を介しているので,新しいトレーニング法 (deep core training) の効果を布センサ,超音波診断装置による腹横筋の筋厚測定,MRIによる横隔膜,骨盤底筋の評価を比較検討する.布センサの視認による主観的な基準を客観的な基準でおこなう方法を決探る. 2.技能ログの収集環境と要約技術の研究 ウェアラブルカメラ,モーションセンサ,生体センサなど多様なセンサを用いてマルチモーダルセンシングするシステムを構築する.指導中のコーチや選手・訓練生の音声,対話状況を録音した技能ログから指導コンテキストを認識する手法を開発し評価する.コンテキストを利用した映像データの自動編集と要約手法を足がかりに,ウェアラブルカメラ等のセンサデータを自動編集・要約する技能ログの提示インタフェースの設計とそれを用いた指導者によるインタフェースの操作の解析を行い,メタ認知的な観点から視聴知識を抽出する.
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Causes of Carryover |
26年度は代表者の招待講演の機会が多くありテーマのコンセプトや成果を発表する機会が多くあったが、研究成果の発表および調査が経済的に行えたため、おもに旅費支出を圧縮できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
個別の研究成果の発表実績をさらに上げるため、旅費に支出するほか、成果をアピールするwebページの制作費などに充てる予定である。
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Research Products
(9 results)