2014 Fiscal Year Annual Research Report
身体性メディアによる場の統合と離れた集団間における共創表現の支援
| Project/Area Number |
26280131
|
|---|
| Research Institution | Waseda University |
|---|
Principal Investigator |
三輪 敬之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10103615)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板井 志郎 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (00398934)
西 洋子 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (40190863)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | 共創システム |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は，①異なる二つの演者集団の「舞台（場）の統合を促す」身体性背景メディアと，②「舞台（場）を盛り上げる」身体性観客メディアについて研究した．
①については，異なる二つの舞台（場）を統合するために，演者各人の身体運動と演者集団全体の運動の双方を取り込んだ「身体性背景メディア」を考案した．具体的には，数千個の粒子の運動により流れを創り出し，演者各人の身体運動を“微視的な流れ”として，演者集団全体の運動を“巨視的な流れ”として呈示することで，身体性を二重に呈示する背景粒子メディアを開発した．前者の流れ（ベクトル場）は，演者各人の身体像のオプティカルフローをNavier-Stokes方程式の外力項として反映させることにより生成している．一方，後者の流れ（ベクトル場）は，演者各人の意識に上らない身体全体の動き（重心）の速度ベクトルを平均化することにより生成した．そして，以上の二つを合成したベクトル場で粒子が運動する背景粒子メディアを実現した．
②については，様々な場所に存在する観客の働きを舞台に表現する身体性観客メディアの設計手法について研究した．具体的には，各クライアントが骨格情報のみをクラウドサーバに通信し，このサーバ上で全クライアントの骨格情報の処理を行うことで，影メディアの属性情報（メディアの種類，色など）を，観客や演者集団，舞台と関係づけて再構成することが可能なクラウド型の影メディア通信システムを構想し，そのプロトタイプを開発した．そのために，影画像の輪郭点を骨格情報と対応づけることで，骨格情報から影メディアを2次元的に操作するソフトウェアを新たに開発した．そして，本システムを使用して，自身の影に遠隔地の他者の上半身の影を重ね合わせて提示する影メディアを用いた通信実験を試みた．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は，当初の研究計画どおり，演者各人の身体運動と演者集団全体の運動の双方を取り込んだ身体性背景メディアの開発に成功し，その有効性を確認した．さらに，骨格情報から影メディアを生成するソフトウェアの開発を手がけるとともに，離れた場所にいる観客の働きを演者や舞台に反映することが可能なクラウド型の影メディア通信システムのプロトタイプを構築し，身体性観客メディアを実現するための手がかりが得られたため．
|
| Strategy for Future Research Activity |
今後は，平成26年度に開発した骨格情報を活用した影メディア生成システムを，2次元から3次元に拡張し，身体性背景メディアと身体性観客メディアを統合した身体性メディアシステムの研究を推進していく．あわせて，「手合わせ表現」に関する申請者らの研究を踏まえて，共創表現の創出という観点から，本研究で開発した身体性メディアシステムの評価を行う．
|
| Causes of Carryover |
平成26年度は，既有の影メディア投影装置（プロジェクタ，スクリーンなど）を活用して研究を実施したため．
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は，遠隔地間において集団でのコミュニケーション実験を実現するための影メディア投影装置（単焦点プロジェクタ，スクリーンなど）の製作費用，ならびに，システムのメンテナンスを行うための構造部材や電子部品，PC周辺機器の購入費用，本研究の成果を国内外の学会，論文で発表するための旅費などに，本年度請求額と次年度使用額を使用する．
|
