2016 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動要因推定の物理パラメータ不確実性に関する研究
Project/Area Number |
26281013
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
塩竈 秀夫 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (30391113)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横畠 徳太 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (20391170)
渡部 雅浩 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (70344497)
田中 克政 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (90747065)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の気候変動における人間活動などの外部要因の寄与を分析する研究分野は「気候変動の検出と要因分析 (D+A) 」と呼ばれ、気候変動科学において重要な位置を占めている。D+A の結果が、使用する気候モデル (GCM) の違いにどの程度依存するかに関する研究は、数多く行われてきた。一方、GCM の物理パラメータ値を変えた場合のD+A の依存性に関しては、調べられてこなかった。本課題では、日本で開発された最先端のGCM を用いて、物理パラメータを走査した上で、過去の全球地上気温変動を再現する実験と、各外部要因だけ与える感度実験を行う。これらの実験データを解析することで、異なる外部要因に対する気候応答の違いを理解するとともに、気候変動要因分析のパラメータ不確実性を議論することを目的とする。 平成27年度は、まず大気モデルを用いて100メンバのパラメータ摂動アンサンブル実験を実行した。その実験データを分析することで、「気候感度と2000年条件のエアロゾル放射強制力が大きくばらつきながら、産業革命前条件コントロール実験の大気上端放射収支が0に近いパラメータ値の組み合わせ」を14セット見つけ出した。その14セットのパラメータ値の組み合わせを大気海洋結合モデルに与えて産業革命前条件コントロール実験を行ったところ、狙い通り気候ドリフトは生じなかった。 昨年度は、同じパラメータセットを与えて、複数メンバの歴史実験、温室効果ガス歴史実験、エアロゾル歴史実験、自然起源外部因子歴史実験を行った。その結果、全外部因子をいれた歴史実験と各外部要因をいれた切り分け実験の両者の気温変化に、大きなパラメータ不確実性が生じた。 さらに将来予測実験も行うことで、過去実験と同様に、将来予測実験にも大きなパラメータ不確実性が生じることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に示したとおり、気候感度とエアロゾル放射強制力に大きなバラツキをもちながら、気候ドリフトしないパラメータセットを見つけることに成功した。その上で、歴史実験と将来予測実験を行い、気温変化に大きなパラメータ不確実性が生じることが分かった。そのため、おおむね順調に進展していると自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに、主な実験は終了した。本年度は、これらの実験結果の分析を進め、成果の取りまとめを行う。
|
Causes of Carryover |
研究代表者が、病気のために予定していた海外出張を取りやめ、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度までのシミュレーションによって生まれた膨大なデータを分析するために、分析を補助する人員を雇用する。
|
Research Products
(2 results)
-
[Presentation] 気温と降水量の極端現象の記録更新に関する要因分析2016
Author(s)
塩竈秀夫,今田由紀子, 水田亮, 吉田康平, 森正人, 荒川理, 池田美紀子, 高橋千陽, 荒井美紀, 石井正好, 森信人, 高薮出, 中北英一 , 渡部雅浩, 木本昌秀
Organizer
日本気象学会春季大会
Place of Presentation
東京国立オリンピック記念青少年総合センター
Year and Date
2016-05-18 – 2016-05-21
-